(by paco)ちょっと前の話題になりますが、東京都がオリンピック招致活動を行っていて、結局、リオに負けました。
招致活動自体に僕は否定的で、一度やっているんだし、やらなくてもいいんじゃないの、他にお金の使い道もあるでしょう、という理解でした。
でも、こういう見方は、ちょっと間違っていたようです。
30代以下の若い世代にとっては、オリンピックも万博も無縁で、日本という国の元気のいい姿をほとんど見ていない、という話を聞くことが多くなり、なるほど、それはさびしいことだろうという理解を共有できるようになりました。
僕らが新・東京オリンピックに反対する気持ちになるのは、旧・東京オリンピックが、その開催のためにあまりに多くの犠牲を払ったからです。
代表例は、高速道路に埋まってしまった日本橋とか、川自体がなくなってしまった渋谷橋や天現寺橋。
日本橋は、江戸の中心、日本の国道の起点としてゼロキロポストなのですが、下の神田川はどぶ川、上には高速道路がうねって、確かに「近未来都市」「ネオ・東京」ぽくはあるのですが、ちっとも美しくないし、江戸から東京へと移り変わった歳の素顔を完全につぶして実用本位の、プライドの持てないものになってしまいました。天現寺橋も、「春の小川はさらさらゆくよ」の童謡で知られる風景だったのに、地下に埋められてしまいました。
東京オリンピックの前に、世界に見せられる東京に変える、という突貫工事が行われ、道路は拡張されて、実用に供さない川や橋は地下に埋め立てられ、都市の記憶を失ったのです。実は、この時点で、神田川も天現寺橋の下の渋谷川も、乱開発と下水道インフラが不足していたために、汚れてかつての姿ではありませんでした。しかし、それを埋めてしまえば、浄化するモチベーションもなくなり、街の姿を復元することさえできません。
確かに旧・東京オリンピックは、東京日本人を勢いづけ自身を持たせることに成功しました。新・東京オリンピックも、同じ効果をもたらす可能性があることを、僕は軽視していました。
しかしその一方で、東京という待ちの記憶をもう一度失うことになるのはうんざりだ、という気持ちもしています。東京都のプランでは、既存の施設を有効活用して、もっともエコなオリンピックを行うということでしたが、都市を壊さないなら、賛成するべきでした。もちろん、僕が賛成に回ったからといって、オリンピック委員会の決定にはなにも影響がなかったのはわかっていますが。
同じような話として、リニア新幹線があります。
こちらは、イベントではないので、判断は違うのですが、日本にはこれ以上、コンクリートのインフラは不要なんでしょうか。必要なんでしょうか。
実は、中央リニアについては僕は賛成派で、早くつくるべきだと思っています。
東海道新幹線にバイパスがないことが大きな理由で、東海地震などで、東名高速、東海道新幹線が両方破壊される可能性が高く、バイパスは必須です。といっても、今から着工しても、自身までに間に合わないかも知れませんが、日本という地震国、災害国には、バイパスは必須でしょう。東海道新幹線の老朽化の問題もあります。リニアができれば、新幹線を一部止めて大改修、といったこともできるようになるでしょう。
となると、別にリニアでなくてもいい、ということになりそうですが、どうせつくるなら、最先端技術で、というのは当然のことで、採算の配慮はしつつも、早い完成をめざしてほしいものです。生きているうちに乗ってみたいなあ(^-^)