(by paco)506次のエネルギーインフラをどうつくるか

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(by paco)

有料版[知恵市場 Commiton]の見本版として公開します。

【iwato】でのやりとりから、シェアしたいものをまとめたいと思います。


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■現在のエネルギーインフラから、次世代インフラへの移行シナリオは?
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「移行プラン」の概要など、大きな政策は、ISEPを中心に議論されていて、プランBは用意されているのです。

(1)今年の夏は、ピークシフトで乗り切る。その上で。

(2)電力会社の統廃合を検討。送配電と発電を分離。発電は発電所単位など、大規模にならないように分離。

(3)送配電は、まず東西接続と、電力会社間を接続。これにより東電管内の電力不足を、全国の既存電源でカバーでき
(4)同時に、東西の周波数統一を行う。10年ぐらる。
いかかりそう。特に事業所の交流モーターがキー。ISEP案では西の60Hzに統合。これの根拠は不明。

以上の方法で、送配電インフラを全国でグリッド化。その上で、再エネの大幅投資を促す。

(7)本格的なフィードインタリフ(FIT)の導入。ただし、料金設定には細心の注意が必要。政策誘導とコストバランスを取る。

(8)再エネ、特に風力と太陽光発電のゾーニングを行う。どこに何をつくって以下ルールづくりを行った上で、FITによって一気に投資を集め、再エネを伸ばす。中国の例で見ると、1年間で原発数基分の風力発電をつくるお琴も可能(中国は去年1年で13GWの風力を増やした)。

(9)洋上浮上風力、太陽熱、波力など、有力再エネの開発投資を進める。

(10)都市内のエネルギー利用の最適化を進め、特に低温熱利用(コジェネ)を進める。エネファーム(家庭用燃料電池)と、トランスヒートコンテナが再有望。

(11)省エネ投資を進める。特に住宅と建築物の省エネ規制の強化が必要。これにより、民間部門の消費エネルギーは30%程度(-70%)まで削減可能。

(12)送配電事業体は、次第に自由化し、最終的にはインフラビジネスに。さまざまな事業者が参入して、インフラを利用したビジネス展開が進む。電話事業のように。

というのがおおざっぱなシナリオになります。これを進めつつ、

(13)原発は、危険度の高いもの、古いものから順次廃止。本来の耐用年数である30年で順次廃炉。2040年頃にはすべての原発が止まる。

(14)2050年には、日本のすべてのエネルギー消費を再エネか達成。

こんなところがシナリオになるでしょう。これは今思いついたわけではなく、欧州がすでに描いているものであり、日本に適用できるように一部シナリオを変えています。

再エネを真剣に研究してきた人たちの間ではおおむね共有されている話です。


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■風力やソーラーなどの代替エネルギーも、人体や環境へのさまざまな悪影響が指摘されているが、それはどう考えるのか。100年単位で見てどのくらい原発に比べ優しいエネルギー源なのか。
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少なくともCO2排出と大気汚染については、他の電源と比べて圧倒的に優れています。悪影響はゼロではありませんが、防ぐ方法(ゾーニングで一定の距離を取る)もある程度は機能しています。少なくとも原発のように、コントロールできない汚染が数百年続く、といった事態はありえません。

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■代替エネルギーは、「面積で稼ぐ」発電方法とも言えるが、日本のように人口が多く、狭い国土で、原発を完全に代替しうるのか(まあ、数十年たてば人口も減りますが)
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風車は地面を利用せず、空間を利用します。現在の大型風車は140メートルにもなる。なので、農地や工業用紙の上にも設置は可能。そこが最適地かどうかは別途検討ですが。洋上浮上風力の開発が進めば、広大なEEZがすべて新しい「油田」になる可能性さえある。ちなみに、日本の国土に降り注ぐ太陽エネルギーは日本が使っているエネルギーの1万倍以上。利用する技術さえあれば、エネルギーに困ることはない。

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■コストを考えたとき、日本の産業の競争力を損なわないか? (逆に産業が生まれるかもしれないけれど)
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世界の自然エネルギー投資は年率30%伸び、第三の産業革命と呼ばれる時代に入っている。欧州ではサハラ砂漠に打規模太陽熱発電所を展開するプロジェクトに40兆円のファイナンスを実行しつつある。中国もゴビ砂漠で同様のプロジェクトを企画中。対する日本は、世界トップシェアだった太陽光発電産業を、政策の失敗と経営判断ミスで完全に喪失つつある。自然エネルギーを無視してきた結果、産業の国際競争力を落としつつあるのが現実。

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■原発は日本にとって重要な輸出産業でもあるわけだが、それを捨て去るのか?
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今回の福島事故で、日本から原発を買う国が増える見込みはまったくない。すでに競争力を失ったしまった(自業自得)。

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■再生可能エネルギーには問題はないのでしょうか。
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「ライフサイクル全体で見た場合、CO2」は太陽光パネルも含めて、すでに実証的に、削減効果が宇和間ることが分かっています。つくるために発生するCO2を、削減分で回収するまでに2?3年です。

風車と津波との関係ですが、洋上浮上であれば、波の上に浮かぶので、実害はないと考えられます。津波の被害は、狭い陸上に上がるときに大きくなります。陸上の風車は通常な山などに置かれるので、津波に直接洗われる場所には置かれないでしょう。地震で倒壊の恐れはありますが、原発が破壊される場合と比べれば、後遺症が少ない分だけ、安全です。

毎回話していますが、再エネ利用にはリスクないと言ってはいません。原発の問題は被害が世代を超えてのちにおよぶ点で、これがなければ、一定のリスクは引き受けざるを得ないでしょう。これは何を使っても同じです。

「代替エネルギーについてそのへん何か研究はあるのでしょうか。単純な疑問です」というところですが、今のところ、よく言われるバードストライクと低周波振動、騒音以外は、大きな問題は聞きません。

デンマークでは、地図の上に風車をポイントしていくと、風車の点だけで国土の形がくっきり分かるほど、密に風車が配置されていますが、それでデンマーク国民が風車の問題に悩んでいる、という話は聞きません。

もちろん、問題がない技術はありません。トータルで見たときに、原稿の電源システムより、問題が少なく、メリットが多いという意味です。

以前に書きましたが、再エネの大きなメリットは、地域経済を活性化するしくみになりやすい、という点です。原発立地で町が発展した事例はないのですが、風車や太陽光パネルで発展した町はいくらでもあります(長野県飯田市など)。

小規模で発電所が運営できるので、地域資本で事業化しやすく、町が潤うのです。本当の意味で市民出資で風車が立てられているというのも実は日本独自のやり方で、日本人の公共心が現れているところだと分析されています。

時速可能なエネルギーインフラという視点で考えると、再エネ発電所の開発は、大手資本のみではできないように規制をかけ、地元資本家市民出資を一定以上必要、というしばりを賭けるべきです。これによって、中央の大企業が地域を圧倒するという、原発型の開発のデメリットを防ぐことができます。

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■放射線被害のとらえ方は?
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楽観的な見解として以下のような専門家による情報もあります。
http://diamond.jp/articles/-/11772

ゲイル博士の記事は今ひとつ信用していません(各自で判断してください)。

「ガンになる確率が1万分の1上がる可能性がわずかにある」とありますが、これを言葉通り、1万人にひとり患者が増える、と捉えてみましょう。病気の発生率は通常10万人単位で見るので、10万人に10名増えると言うことです。

白血病の発生率は、2006年で10万にあたり5.9人(日本)。これが放射能によって10人増え、15人前後になるとしたら、その影響を少ないといえるのか?? 年間7400名死亡しているということなので、単純計算すると、放射能によってさらに1万1500人死者が増えると言うことです。この数は、交通事故の年間死者数の2倍以上です。この数を少ないといえるか? ということです。

同じ数字をもとにしても、どう説明するかでずいぶん印象が違うでしょう?

「日本人の3分の1が癌で亡くなっているいることからすれば、1万分の1というのは、小さい値に思えます。この現状で、何とか折り合いを付けていくしかないです。」という意見もありますが、その考え方でいいのか。

「生活上の折り合いをどう付けるか」というイシューと、放射線汚染を「問題ない」という発言をどのように理解し、何を発信するかは、イシューが違います。

年間1万人増える白血病患者の中に、妻子が入っているとしたら? 放射能がなければ、増えなかった。1万人増えると、1万家族が悲しみに暮れることになる、ということです。このリスクを、受け入れて「やむを得ない」と主張するのか、「それはひどい、これからはこうするべきだ」と主張するか。自分の対処法と、社会に対する発信とは、分けて考えないと、あるべき論は語れないのです。

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ということで今週は、【iwato】でのやりとりを、なるべく編集せずにお届けしました。

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