(by paco)再犯防止か、人権侵害か、生活援助か

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(by paco)「子供への性犯罪、出所者に警察官が面談 再犯防止狙う」という記事が出ました。詳細は最後に添付しておきますが、「子供への性犯罪で有罪、服役、出獄した人に対して、警察官が支援を行う」というのが主旨です。

性犯罪や児童を対象にした犯罪は特に再犯性が高いことがわかっていて、社会復帰しても、本人は「もうやらない」という意思があったとしても、「ついつい、犯罪の方向に動いてしまう」傾向があるようです。

こういった犯罪歴がある人たちに対して、社会復帰がうまくいっているかどうかを確認し、必要なら支援団体を紹介する、ということで、記事を見ると、悪いことではないのではないか、と感じられます。

欧州の一部の国や米国の一部の州では、もっと突っ込んだ取り組みをしているところがあり、出所後に、精神科医師やカウンセラーが主宰する再犯防止のミーティングに定期的に参加することを義務付けたり、参加しないとペナルティがあるといった活動をしているところもあります。実際、再犯性の高い性犯罪では、たとえば、生活が孤立していらだったり、寂しさが募ると、女性や子供など弱者に対して性暴力をこうすることで心を見たそうとする形で再犯におよぶことが多く、再犯にいたる前に、生活が安定させることができれば(収入や家族、友人関係など)、再犯を踏みとどまる、という例も出ているようです。


本来は、刑期を終えて出獄すれば、普通の人と同様に、いちいち干渉されない生活を送るべきであり、警察やカウンセラーが関与するのは、強制であり人権侵害だという意見があります。実際、上記のサポートを極端にすると、映画「SCOPE」に登場するように、出所時にGPSセンサーを埋め込んで居場所を確認し、女性に近づくと吐き気をもよおすように身体改造する、言ったことも想定されて、こうなるとかなり人権侵害と感じさせます。

犯罪者に人権はあるのかという乱暴な議論もありますが、もちろん、犯罪者にもちゃんと人権があります(制限は受けるにしても)。今回の記事は、人権の制限とはいえませんが、成果を上げれば、より強力な方法に強化される可能性があり、人権面から見て注意が必要です。

一方、税金を使って犯罪者を支援する、ということについて、過保護だとか、税金の無駄遣いという議論もあります。しかし、放置すれば、新しい犠牲者が出ることを考えれば、再犯防止に成果があるなら、被害を受けてから被害者を支援するより、ずっと気が聞いています。でも、生活が苦しい貧困者から「自分は犯罪を踏みとどまっているのに、踏みとどまれないやつをなぜ手厚くするのか」という疑問が出た時に、「それはイシューが違うでしょ」とはいえても、現実的には答えることが難しいことは事実です。

今<おとなの社会科>では「罪と罰」というテーマで、こういった犯罪者をめぐるいくつかの議論を取り上げて、考えています。自分は犯罪者にならない、被害者にもならない、と思っているうちはあまり考えないテーマではあるのですが、世の中の形を考えるとき、またものごとを原理原則に則って考えるという思考習慣を作るには、とても良い題材です。

ぜひ受講に来てください。

▼asahi.comより
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子供への性犯罪、出所者に警察官が面談 再犯防止狙う
2011年1月13日

 強姦(ごうかん)など子供への暴力的な性犯罪で服役し、再犯の危険性が高いと判断した出所者について、警察庁は、警察官が継続的に面談する新たな取り組みを4月に始めることを決めた。孤立感を和らげて再犯を防ぎたいといい、13日の国家公安委員会に報告、了承された。ただ、面談実施は出所者本人の同意を条件としており、どこまで効果が上がるかは未知数だ。

 これまで警察庁は、13歳未満の子供への性犯罪の前科・前歴者について、本人の社会復帰を妨げないよう出所後は直接の接触を事実上禁じていた。だが、昨年5月までの5年間に法務省から情報提供を受けた出所者740人の再犯状況を調べたところ、再犯が多いことを改めて確認した。105人が何らかの性犯罪で摘発され、うち49人が再び13歳未満の子供に危害を加えていたことがわかり、従来より踏み込んだ対策を迫られた。

 新たな面談制度の対象者は、過去に暴力的な性犯罪歴が複数回ある出所者だ。子供への性犯罪の再犯者の大半が40歳代以下だったことから、対象者の出所時の年齢は50歳未満とする。また、この要件に合致しなくても、服役後に子供に声をかけたり、付きまとったりして警察の職務質問を受けたことがある出所者も加える。過去5年間の出所者でみると、約43%が該当するという。

 面談までの手続きは、まず警察庁が、法務省から出所者の居住予定地の情報提供を受ける。所管する警察本部を通じて地元の警察署に連絡し、警察官が時間を置かずにその住所地に出向く。

 これまでは外から表札などを確認して様子を見守る程度にとどめていたが、今後は訪問して本人が住んでいるかを確かめる。本人が同意すれば1年間に2回以上面談し、暮らしぶりや悩みの有無を聞いたうえで、相談内容によっては専門の窓口や機関を紹介する。こうした取り組みを約5年間続けるという。

 出所者の更生や人権に配慮し、警察官は訪問や面談の際に制服は着用せず、近所への調査なども控える。面談を拒まれた場合は、説得を繰り返して取り組みへの理解を得られるよう努めるとしている。(編集委員・緒方健二)

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