(by paco)映画「ノルウェイの森」を見てきた

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(by paco)映画「ノルウェイの森」を見てきた! 

おもしろい、というのでもないし、いい映画、というのもちょっと違うような気がして、印象に残るとか、心にタネを残すような映画でした。原作を読んだのは発表当時なので、すっかり忘れてたけど、小説という手法でないと表現できないテーマだな。

テーマは愛、それも理不尽な愛の不条理。愛の不条理は、世界的にはフランスの小説や映画の独占特許的なテーマではあるのだけれど、日本人も、谷崎潤一郎や渡辺淳一をはじめとして、たくさんの作家がこのテーマの小説を書いていて、こんなセンシティビティは日本人とフランス人の数少ない共通点かもしれません。

原作が登場してすでに20年以上たっているので、ネタバレも何もないので、内容も書いてしまいます。

主な登場人物は主人公「ワタナベ」くんとその親友「キズキ」、そしてキズキの恋人「直子」。

キズキは直子と愛し合い、キズキの親友、ワタナベは二人の愛を間近に見つつ、青春を送ってきた。直子はキズキとの幸せな将来を疑ったことがなかった。が、17歳、キズキは遺書も残さずに自殺してしまう。キズキがいない現実に放り出された直子とワタナベは、同じ喪失感を抱えながら、大学に進む。ワタナベは直子と再会し、直子を愛してしまうが、どちらもキズキの喪失をどうやって埋めたらいいかわからない。お互いの愛に気づくほど、喪失感も深めてしまう直子とワタナベ。ワタナベは直子を支える決意をするが……。

と書くと、確かに美しい物語なのだけれど、実際読んでみると、主人公ワタナベは女子にモテるわり(直子を愛しながら、同級生の緑とも付き合っちゃう)にうじうじと決断力がないだらしない草食男子、のようにも見えて、初版当時は、僕はあまり好きになれなかったのですね。

今回映画で改めてこの物語のテーマを2時間で見て再確認し、いい話じゃないのと思った次第。

で、映画の話。

まず、「ノルウェイの森」映像、文句なしの美しさ。静かな物語に、登場人物の鼓動を与えるような動的なカメラワークが秀逸。ちょっと酔いそうになるぐらい、カメラが動き続ける。舞台が1967年頃なので、「昭和」菜小道具がたくさん登場するものの、あまりそこに引っ張られないような演出もがよく。とにかく、映像が美しい。トラン・アン・ユン監督の映画は初めて見たけれど、あふれる才能、という感じ。

キャストもすばらしかった。ワタナベ=松山ケンイチ、直子=菊地凛子、緑=水原希子(きこ)。緑がちょっとイメージと違ってたけど、それもよかったな。菊地凛子、さすがの実力。本人が一番やりたかった役で、オーディションを自ら受けたというぐらいなので、ほんとうに役に入りきっていた感じ。小説では直子のイメージが今ひとつリアルにつかめなかったのだけれど、菊地凛子が直子に生命を吹き込んだ。松山ケンイチ、抑制の効いた演技が女優陣をしっかり引き立ててた。声がいいなあ。それでいての主役の存在感。「デスノート」のLより、さらに厚みが増してすごい感じ。

村上春樹の小説の文法に従って、セックスシーンもけっこうたっぷりあることを付け加えておきます。

ということで、やっぱりこの映画、オススメだな。

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