(by paco)経済より政治の話をする米国庶民

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(by paco)米国在住だった友人が、3年ぶりに日本に戻ってきたので、先週食事をしていろいろ話した。起業を考えている彼女に、僕からみたアドバイスをいくつかしたのだが、その話のあとに、<おとなの社会科>の話になり、米国の一般的なビジネスパースンの行動やメンタリティについて、彼女の話を聞くことができた。

興味深かったことがふたつ。

ひとつは、米国人は経済の話より政治の話をする傾向にある、ということ。日本のビジネスパースンと話していると、社交の場(といっても、飲み会や食事会など)では「政治と宗教の話はタブーなのでは?」と考えている人が多いようだ。あなたはどうだろうか、飲み会ではどんな話題が出るだろうか。

一方、経済の話題、たとえば株価が上がったとか下がったとか、円相場がどうだとかは、よく出るように感じる。円高だから大変だとか、株が下がると大変だとか。そもそも、円高だとなぜ大変なのか、自分の仕事にどのように影響があるのか、ということをどのように理解しているのかという問題もあるが、それ以前に、経済の話は話しやすくて、政治の話は話さない方がいい、というようなメンタリティが、日本のおとなにはあるように思える。

米国では、最近よく話されることとしては、メディケア、つまり健康保険制度の話がある。オバマ政権は公約だった国民皆保険野制度を議会に承認させることに成功したが(民主党にとっては積年の課題だった)、米国の保守層から見ると、これはとんでもない法律に見える。貧困に陥っている人は努力が足りず、その怠け者に、なぜ努力して今の地位にある自分たちが金を出さなければならないのか、と考える自己責任論じゃも多いし、手をさしのべるのはいいとしても、それが合衆国政府のやることなのか、むしろ教会など別の社会システムを通じて民間がやった方がいい、と考える人も多い(実際、よく行われている)。こういった政治的意思決定の話題を、論点も含め、それなりにきちんと話せることが、米国政治を支えているのだろう。

一方、逆のことが日本に言えるとしたら、だから日本の政治は弱いのだと言える。逆に、だから日本の経済は、政治よりは強いのかもしれないが、今の時代状況では、どちらが重要なのか。強弱関係は、日常の会話の中に含まれている。

ふたつ目は、帰宅時間というか、働き方の話。彼女はLAで仕事をしていたので、全米から見ればビジネスが盛んな大都会で生活していたのだが、それでも平均的なビジネスパースンの動労時間、というよりは帰宅時間は、6時とか7時で、夜遅くまで残業というのは、あるにしても、連日残業ということはありえない、という。その代わり、早朝8時から会議、というようなことは珍しくない、ということなので、ワーキングアワーに予定が組みにくいときは、深夜より、朝時間を合わせる習慣のようだ。朝のほうが、終わりを際限なく続けてしまうことが少ないからかもしれない。

いずれにせよ、「逆門限(夜11時以前には帰宅するな)」と奥さまから言われている男性が珍しくない日本から見れば、ワークとライフの時間配分はかなりまともだし、それが世界標準なのだ。日本人は、「常識」を変えた方がいい。

(ちなみに僕自身はどうかといえば、ワーカホリックのように見えるが、いわゆる生活のための仕事に限定すれば、十分短い。<おとなの社会科>など、先行投資のための仕事や、Life Design Dialogueなど社会貢献的な仕事が多いので、いわゆる「余暇」は少ないが、どこにワークの線引きをするかでまったく違う)

ということで、政治を話題にする米国人、早く帰宅する米国人、という話。

ちなみに彼女は、日本に帰ってきて、「みんな表情が暗い」ということを残念がっていた。ちっとも楽しそうじゃないと。楽しいことがないわけではないはずなのに、辛い状況の人ばかりじゃないはずなのに、なんで暗い顔をしているんだろうと。

僕はどんな表情に見えたんだろう??

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