(by paco)ホワイトカラーの仕事が変わっていることに気づく必要がある←書評「貧困化するホワイトカラー」

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(by paco)「貧困化するホワイトカラー」という本を読みまして、その書評です。

本書を読んでいくと、ホワイトカラーに対する搾取が激しくなっていると主張していて、その主な理由として、「第4章 雇用差別に屈しない」では女性差別の問題、「第5章 阻止されたホワイトカラー・エグゼンプション」では不払い労働について説明し、ここがこの本の核心部分になっています。

第4章では、女性差別が今も歴然とあり、女性が「安く」使われているなら、女性の社会進出が進むにつれて、労働者の平均が搾取の傾向になる、というロジックは、説得力があります。もちろん搾取どころか、男性以上に稼いでいる女性は少なくないものの、平均値を見れば、この話は納得感がある。

また、過労死に追い込まれた人たちと、その遺族の戦いのレポートは、リアリティがあり、とても参考になります。

しかし第5章の説明は、現実の「半分」しか説明できていないと感じます。

著者は、男女同一賃金にせよ、不払い残業にせよ、ホワイトカラーの仕事を労働時間で管理できる、労働時間と成果が比例する、という考え方にたっています。また、ほぼ同じ能力の社員なら、同じ時間で同じ成果が上げられるという前提に立っているわけです。

実際、本書では

「ホワイトカラーの場合でも、残量(勤務時間)の量は、同じ仕事をしている労働者の間では大して変わらないと考えてよい。」

「だとするとだらだら残業するものの方が効率的に仕事をするものの方がより多くの報酬を得るという例は問題にするほど多いとはいえない」

「年功賃金においても「功」の部分では査定が影響するので、非効率な働き方が特をすることは長期的には考えられない」(p.185)

と書いています。

しかしこの前提が、少なくとも今の時代の中では、間違っているのではないかと思えます。同じぐらいの職歴、年齢、学歴、能力であっても、やり方によって成果が違うことは珍しくなく、その差も、10%というような違いではなく、倍とか、ゼロと10とか、そういう差になることがしばしばおこる、ということです。

たとえば僕の友人があるIT会社の営業チームで実態を分析したところ、半分は効率的なやり方をして、半分は従来のやり方をしていることがわかり、その効率の差は4倍にもなったそうです。どちらも同じ会社の平社員ですから、基礎能力はほぼ同じと考えられます。

しかし自分で工夫している社員とそうでない社員の違いは、4倍の差になっている。もちろん、工夫している社員が、そうでない社員より4倍長時間働いているわけはありません。正社員で働く以上、そんな時間差は、あり得ない。

つまり、今のビジネス環境では、やり方を工夫できる社員とそうでない社員の差は、実は大きく開くのであり、だからこそ、本書の著者が言うような「時間と成果は比例する」という理解が、現実を見ていないということになります。

もちろん、だからといって、労働者の時間管理は「必要ない」ということではありません。時間管理だけではダメだし、成果管理だけでもダメ。どのような管理と報酬体系を作ればいいのか、その答えは、少なくともこの本にはないようです。

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