(by paco)【pacoの目×ecoの芽】023エコエグ講座「小規模有機農業はどのように可能か?」

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(by paco) 2010年3月1日(月)に、エコエグ講座「小規模有機農業はどのように可能か?」を行いました。

農業に注目が集まっています。その背景には、食糧自給率の低下や輸入農産物の安全性が問題になったこと、その一方で、景気悪化もあって若い世代に労働観の変化が起きて、農業という仕事を見直そうという動きがあることがあります。

今回は特に、小規模農業にスポットを当てて、注目が集まるほどに、実際に農業は仕事として成立するのか、という点について考えてみました。

今、農業の新しい形として見えてきていることに、大きく4種類があります。

(1)自給自足+お裾分けビジネス

このモデルの例として、知恵市場でも記事を書いてくれている百姓2年生「環の花」(茨城県)があります。2年ほど有機農業の研修をしてから、就農し、平飼いで鶏を飼い、卵を収穫。それと同時に、夫婦で耕作できる程度の畑に他品種を植えて、自分たちの食べるものプラス、お裾分け的に直販していく、というモデルです。このモデルの特徴は、住居や生活を質素にできれば、現金収入は最低限で済むので、整形が成り立ちやすいこと、うまくファンをつかめば、現金収入もそれなりに見込めるというものです。このモデルで成功するためのKSF(Key Success Factor)は、「研究熱心」でしょう。多品種少量生産で、高付加価値のものをつくるには、自然現象を徹底的に観察し、手をかけて作物を祖立てることで、よい野菜を作り、ファンをつかんで現金収入につなげる、というサイクルを回すと、成功の可能性が高まります。

(2)高付加価値農産物の中規模生産

このモデルの代表は富士南麓の「ビオファームまつき」です。高級フランス料理店での仕事経験をもとに就農した松木さんは、シェフがどのような野菜を求めているかを熟知していて、高付加価値の高級食材を適切に生産することで、生産と販売を軌道に乗せました。付加価値をしっかり取ることが目標なので、家族経営から一歩拡大して、社員やアルバイトを使い、ある程度の量を生産して、事業規模を確保しようとします。類似の業態として、飲食チェーン「和民」グループの「ワタミファーム」があります。ワタミファームは、ワタミグループの店舗という販路が確保されているために、予定の食材を生産できれば、軌道に乗せやすいのですが、実際には農業経験の浅い若者たちが就農したために、生産を軌道に乗せるのに苦労しているようです。しかし、経験値が高まれば(そこまで持ちこたえるだけの資本力がワタミにはありそう)、収益を出すところまで持って行けると思います。このモデルのKSFは、「付加価値を活かせる販路の確保」です。

(3)知恵と労働の結集モデル

このモデルの代表例が千葉の和郷園です。若い農家が集まって農業生産法人をつくり、ノウハウや農地をうまく集約しながら、小規模の機動力とグループになることのシナジーを活かそうというモデルで、必ずしも有機栽培にこだわらないものの、市場のニーズとのバランスを取った低農薬栽培で、安心感のある品質を提供しようというものです。このモデルでは、多数の農家のグループ化によって、生産量も確保できるの特徴でその生産量を背景に、生協や「大地の会」のような、多くの会員を持つグループとの直接取引が可能になり、安定収益を見込むというモデルになります。このモデルのKSFは「知恵の結集と、ほどよい資本力」です。

(4)効率と量産追求モデル

このモデルは、北海道のような大規模農業で畑作を行い、なるべく単位面積あたりの収益の高い野菜を選んで量産し、確実で比較的大規模な収益をめざすもので、「週末農業で1000万円を稼ぐ」北海道の農家などが代表例です。このモデルでは、有機栽培とか、珍しい野菜というような凝ったことには手を出さず、ネギやピーマンのような、多くの人が普通に欲しがる野菜を、農協が求める企画に合わせて大量生産して、機械化農業で売上と利益を上げることをめざします。実際、個人で週末だけの農業で、1000万円を売り上げることも可能ということなので、相当なものです。このモデルのKSFは「品種選びと徹底したコスト意識」です。

ということで、今の日本で農業でそれなりにうまくやる方法は4種類ぐらいあり、それぞれの要件をクリアできれば、農業で食っていく(成功する)ことは決してゆめではありません。しかし、もちろんかんたんに成功できるわけではないのですが、それは都会で独立して事業を始めても、簡単にはうまくいかないのと同じで、農業だから特別に難しいわけではないと思います。

安易に就農を進めるつもりはありませんが、農業は無理、と決めつけるようなものでもない。そういう状況だとも思います。

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