(by paco)【pacoの目×ecoの芽】020 日本の捕鯨に正当性なし

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(by paco)ちょっと前の話ですが、日本が南極海で行っている調査捕鯨の船と、それに反対している環境保護団体「シーシェパード」の船との間で事故が起こったと報じられました。

これに対して日本では、「鯨を食べるのは日本の文化なのだから、世界が反対するのは許せない」というような意見や、そこまでいかなくても「異常な行動」と、反捕鯨行動を非難する(日本の捕鯨を擁護する)意見を持っている人が多くてびっくりしています。

日本が今行っている捕鯨は、基本的に行って、正当性はありません。時代の流れから行って、無理があります。なぜか。ざっくり、その話をしましょう。

ひとつ聞きますが、あなたは過去1年間、鯨を食べましたか? あなたの家族や友人はどうでしょう? もし、複数回鯨を食べていて、「最近鯨が食べられなくなってさびしい、残念でしょうがない」と感じている人がいたら、その方にはちょっと申し訳ない話になってしまいそうです。しかし、多くの人は鯨を食べた記憶はないのではないでしょうか。それどころか、スーパーマーケットで鯨が売られているのを記憶している人さえ、少ないと思います。つまり、日本ではすでに鯨を食べる習慣やニーズが、ほとんどなくなっているということです。

さて、それとは別の質問。

クジラは哺乳動物です。しかも、野性の哺乳動物で、種類によっては絶滅の危機にあったり、以前は危機的状況にあった種も多くあります。あなたはここ1年、野性の哺乳動物の肉を食べたことがありますか? 

では次の質問。もしオーストラリア人が日本に来て、「日本では熊が増えて農家が困っているんだってね、猟銃で撃ってもいいよね、なあに、ムダにはしない、ちゃんと食べるからさ」と大量の鹿やイノシシを撃ち殺していたら、どう思うでしょう?

さらに質問。フランス人(アメリカ人でもいいのですが)がケニアやタンザニアに行き、「たくさんのシマウマやキリンがいるじゃない、狩猟をして食べもいいよね」と言ってどんどん撃ち殺していたら?

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日本を含めて世界中で、特に先進国では、野生の哺乳動物を捕殺して食べるという習慣は、ほとんどなくなりました。もちろん、いまでもあります。日本でも北海道で増えすぎた鹿や、ライフル1本による狩りによってとられたイノシシなどは、地元のレストランで食事に出される。でもそれは、比較的狭い地域内で、組織的ではない零細的な方法で行われているものです。組織的に、鹿のいる場所を追って移動しならが狩りを行うようなやり方はさすがに野蛮、ということでいまは行われていません。日本人も、他の国の人も哺乳動物の肉は食べますが、家畜として育てた物で、野生の動物ではありません。

つまり、先進国が組織的に野生動物を狩って、食事に供するという行為は、基本的に行われていないのです。日本の捕鯨は、この点で例外的に異常です。

野性はダメで、家畜はいいというのは人間のエゴだという意見はあるでしょう。でももしそのエゴを認めないなら、日本の国土からはとうの昔に野生動物は消えているはずです。家畜を食べるのはやむを得ないが、野生動物とは一線を画す(実際味もおいしくないことが多いし)という考えは、特に道徳的とは言えませんが、一定の合理性はあります。

なぜ日本人にとっての鯨だけ、特別なのでしょうか? この点が、日本以外の人々には理解できないのです。

もうひとつ。日本の捕鯨は「調査捕鯨」と称していますが、もし鯨類の生息数調査が目的なら、殺す必要はありません。多くの研究者が行っているとおり、船上から尾びれを観察するなどすれば、個体の特定までできます。年齢や食生活などを調べるにしても、せいぜい10頭とか、30頭とか捕獲すれば十分で、それさえ、別の方法もあるでしょう。さらに、南極海のみならず、世界中の海域で調査しなければ意味がないでしょうが、なぜか南極近辺に集中して行っており、しかも年間1000頭という数を捕殺しています(しかも、税金を投入して)。

反捕鯨派の人も、伝統捕鯨は認めています。近代以前から地域で行われてきた捕鯨で、通常はせいぜい小型エンジン付きぐらいの小舟に乗り、槍(やり)やライフルぐらいを使ってクジラを戦って捕獲する方法で、日本でも紀州などでは江戸時代以前から行われてきました。もちろん巨大な鯨を捕るのですから、一歩間違えばクジラに逆襲され、ケガや死の危険もありますが、それでも挑んできたのが伝統捕鯨です。

これに対して近代捕鯨は、大型の捕鯨船の上から火薬を使って発射される金属モリで、確実に仕留める方法です。人間にリスクはなく、クジラに逃げ道はありません。

ということで、事実と疑問を中心にお話しし、あえてあまりロジックは書きませんでしたが、読んだ上で、あなたの考えに変化はあったでしょうか。え? そうだったの?と疑問だらけになったかもしれませんが、いまの世界で、日本の大規模捕鯨を正当化するロジックが成り立つかというと、それははかなり難しいと思います。

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