(by paco)行政刷新会議、事業仕分けのメディアと実際の違い

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(by paco)先週「仕分け人をやるかも」とお知らせしたのですが、無事に仕分け人となり、初日水曜日、3日目金曜日に出席してきました。

僕が参加している第三ワーキンググループは、なぜかけっこう注目されていて、初日も「私の話も聞いてください」の女性教育会館事業の理事長さんや、スーパーコンピューター開発、毛利館長の日本科学未来館などを仕分けしました。

ちなみに、3日目の仕分け内容についてのasahi.comの記事が以下のような感じですが、現場で仕分けしていた人間として、記事と実際の違いなどを書いてみます。

▼asahi.comより
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事業仕分け 科学予算バッサリ、毛利館長も防戦2009年11月13日23時33分

政府の行政刷新会議は13日の「事業仕分け」で、学校での理科教育の充実から、次世代スーパーコンピューターまで、科学技術関連事業の大幅な削減を求めた。前政権までは「技術立国」を掲げて巨額の国費を投入してきたが、仕分けでは「聖域」なくムダ削減に取り組む姿勢を示した。


3日目の作業で「廃止」としたのは、小学校の理科の授業に支援員を派遣している文部科学省の事業など9事業で総額305億円。予算の大幅縮減も26事業に上った。

先端技術関連では、独立行政法人・理化学研究所が開発を進める次世代スパコン(概算要求額約270億円)について「来年度の計上見送り」を含む予算の削減を求めた。今年度分を含め計545億円の国費を投入してきたが、蓮舫民主党参院議員らが「財政難のなかで大金をかけて世界一の性能にこだわる必要性があるのか」などと指摘した。

世界最先端の大型放射光施設「スプリング8」の運転経費の補助(同約86億円)や、深海研究「深海地球ドリリング計画」に対する補助(同約108億円)なども投資効果を再検討する必要があるなどとして「予算削減」とした。

慢性的な赤字運営の「日本科学未来館」(東京)も取り上げられた。宇宙飛行士の毛利衛館長が「経営努力で入場者数は増えている」などと訴え、23億円の概算要求に理解を求めたが、仕分け人はコスト削減の余地があるとして予算縮減と財団法人の運営の見直しを求める結論を出した。

財源の少ない自治体に国税の一部を「地方の財源」として配分する地方交付税については、「制度の抜本的見直し」を求めるにとどめた。

ただ、総務省の政策評価、行政評価・監視は「今まで以上に力を発揮してもらう」として、事業仕分け3日目になって初めて「前向き」の判断が示された。(松田京平)
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■まず先に確認しておく必要があるのは、仕分けという作業の位置づけです。

行政の意思決定に市民が参画する主要な機会に、審議会があります。いわゆる専門家が集まって議論し、政策立案に意見を述べます。この日の仕分け対象の事業もほとんどが審議会での議論を経て起案されていて、その意味では、その分野の専門家の総意によって、提案されているものであり、手続き的に問題はありません。

一方仕分け人が、その分野の専門家とは限らず、専門知識がある委員も入っているものの、それ以外のバックボーンの人が多い。では、なぜそういう人が仕分けを行うのかというと、専門家は自分の専門分野の価値を重く見すぎる傾向があり、一般市民の感覚で見たときに、「専門家でないから判断できない」という感覚とのギャップがあるために、専門家集団の審議会に任せておくと、「お手盛り」の判断になりやすいという傾向があるわけです。

これまでの自民党政権では、長年この方法がとられてきたために、審議委員も固定化してしまい、専門家の弟子が次の専門家になる、というように自己撞着が起きて、自己防衛的な意思決定がされるようになってきた、という弊害があります。今回仕分けの対象になったスパコンや実験設備「スプリング8」、海外研究者の招致などはそういったタイプの事業の典型です。

このような方法で意思決定されてきた政策が、本当に「市民目線で」見たときに納得でき、他のことに優先して多額の税金を投入する意味があるのかを確認しようというのが、仕分けの意味合いです。だからこそ、むしろその道の専門家でないほうがよく、一般市民の目線でありながら、専門家が語る「すごい価値があるのだ!」というメッセージに負けないような人が仕分け人に選ばれている、というように考えてもらうとよいと思います。

■次に、仕分けの判断の基本は「仕分け人を納得させる責任は官僚側にある」という点です。

これは民主党が明確に打ち出している姿勢ですが、これまでの自民党政権では、官僚が持ってくる起案を否定する場合に、「それはムダだ」ということをの立証責任は、政治家の側にありました。官僚が持ってくるプランは審議会を経て大臣まで承認したものなので、その正当性を議員が否定するためには、審議会と大臣(大臣も国会議員ですが)承認をひっくり返せるぐらいの証拠が必要だったわけです。タテマエとしては、国会議員である大臣が十分吟味し、官僚の勝手やお手盛りを防ぐはずですが、大臣はその事業分野の専門家ではないことも多いし、何しろたった1人で膨大な自分の省庁内の起案を吟味することは実質的に不可能。結局大臣のチェックはほとんど意味を持たなかったのです。立証責任が政治家の側にあったので、起案を止めることはハードルが非常に高かったわけです。

今回の事業仕分けは、必要性の立証責任を官僚にあると位置づけた。ここが重要な点です。

ということは、仕分け人は、官僚の説明に自分の市民感覚から考えて、納得できなければ、「予算を付けない」と判断しなければならないことになります。納得できていないのに、「官僚がいうんだからいいのだろう」と要求予算の満額を認めることは、仕分け人として怠慢になります。

では官僚は十分な説明がきるのか? できなければ、事業そのものの必要性があっても、事業廃止や減額になる可能性が高い。これが、仕分けのしくみです。

■「スーパーコンピュータ開発」は何のために?が、明確に示されない

説明責任を果たしたかどうかが明確に示されたのが、スーパーコンピュータ開発事業と、毛利館長の日本科学未来館の仕分けでした。

スパコンで示された事業の目的は「世界トップのコンピュータをつくる」「これによって日本の技術は世界の頂点に立てる」「米国に抜かれ、中国もすぐ後ろに来ている、危機である」「スパコンがあれば、ナノテクや製薬、環境などの分野で世界トップの研究ができる」というものでした。

あなたは、この説明でスパコンの開発に、合計1000億円(おそらく、将来合わせて1500億円を超える)国税を投入することを認められるでしょうか。半端なく巨額であり、特に今回は本格開発に入るかどうかのタイミングなので、今年認めてしまえば、来年度止めるのは困難になります。

実際に事業を取り巻く状況を見ると、これまではNEC、日立、富士通の三者が参画して、国と共同開発していたのに、NECと日立が開発から離脱し、富士通だけになった。その結果、スパコンの技術も「ベクトル型」と「スカラ型」という二方式併存という計画が、「スカラ型」だけになった。

主要なプレイヤが抜けた上に、技術も大きく変わっている。計画自体の立て直しが必要なタイミングのはずなのに、「審議会では小変更で同じ結果が得られると承認された」という理由で、増額した予算を要求しています。

まず、審議会と文科省のこの決定そのものがちょっとおかしいと思いませんか? そんな簡単なことでいいの?と思うのに、「十分審議した、大丈夫です」というだけです。だとしたら、そもそも最初に「ベクトル型スカラ型併存」の開発というやり方そのものがおかしなものだった可能性もある。これまで3社相乗りでやってきたので、今回は富士通だけでもできたのに、NECも日立も入ってください、といっていた可能性を疑えませんか? 疑いがあるのに、この点についてクリアな説明がなければ、「説明責任を果たしていない」と判断できます。

次に、そもそもスパコンは、今の時代に「技術の頂点」と言えるのか。確かに、地球気候モデルなど、一部のシミュレーションにはスパコンの性能は欠かせません。しかしそういったニーズのマーケットは、世界でも1000億から2000億円といわれていて、マーケットが小さいがゆえに、採算性がないと判断したNECと日立が撤退したのです。これまでは莫大な開発コストがかかっても(国と共同開発しても、NECや日立、富士通の開発費負担は莫大)、マーケットもあったから、これまではやってきた。すでにマーケットが限定的なのです。スパコン以外のコンピューティングの性能が上がったため、かつてはスパコンでやっていた計算もワークステーションや分散コンピューティングでできるようになった。高性能スパコンでないとだめな分野はどんどん小さくなっている。もちろん、その分野で頂点の研究をするためには、世界トップのスパコンが必要です。でも、その領域は、決して大きくはない。そういう事情について、僕や一部の仕分け人はだいたいわかっていました。わかっていない人もいたけれど。僕は知っていたので、あえて質問はしていません。官僚の説明はのらりくらりなので、「おっしゃるような傾向はありますが、世界トップの性能が重要な分野はまだまだたくさんある」と答えるのがわかっているからです。

僕はスパコン開発は、そろそろ現代の「巨艦巨砲主義」になっていると思っているのですが、これを否定する説明は得られなかった。なので、僕の仕分けは「事業は全面見直し」です。巨艦巨砲主義とは、日本海軍が巨大な砲を持った戦艦大和を開発したとき、世界の海軍の主力は航空機になっていて、空母こそが海軍の能力を決める時代になっていた、という歴史です。グーグルは何千台もの低性能のPCを並べて、超高速の処理を可能にしていますが、たとえばこういう方法がこれからのトレンドだろうと思うわけです。スパコンが切りひらく地平はまだ十分あるものの、その領域はどんどん狭くなる。それより、もっと将来につながる分野に投資した方がいいのではないか。これがスパコン開発中止の判断の背景にあり、これを覆す説明は聞けなかったというのが実態です。

■毛利館長は仕分け人を圧倒

新聞記事には「毛利館長も防戦一方」というように書かれていますが、まったくの間違いです。

毛利館長は開口一番、大きな声で財務省の指摘を圧倒し、あっという間に議論を自分のものにし、そのまま何も失わないばかりか、大きな果実まで持って帰りました。完勝です。

最初の論点は、財務省がしてきた「日本科学未来館は、大幅赤字」という指摘です。「国の事業に対して、赤字という概念を持ち込むこと自体が間違っている。国が小学校の経営に税金を投入することを赤字というわけがない!」と一刀両断です。実に気持ちがいい。返す刀で、「これは日本国の未来のためにやっている事業で、科学によって日本が未来を切りひらくことを示し、実現するための事業であって、未来への投資としてこれほど重要なものはない」と主張し、全員をそれだけで納得させました。

最新科学を投入した10億円規模の投資についても、「これをつくったおかげで世界中のVIPが来て、各国に報道された。パブリシティ効果だけで軽く回収している」と主張。さらに、入場者数の伸びのグラフを示して、「この不景気に、これだけの入場者数増と収入増をもたらしたのだから、実績は十分」と努力の大きさをアピール。仕分け人は歯が立たない圧倒的な論理展開でした。

ではなぜ、減額になったのか。実は実質的に減額にはなっていないのです。未来館の運営には、もうひとつ別の法人が下請けに入っているのですが、これがコスト増になっている上に、下請け法人の人事権が毛利館長にはなく、最適配置ができない。別法人があれば、その法人の役員報酬や管理コストが発生して、二重コストに成り、これがムダの温床になる。そこで、この二重構造を廃止、館長直下に一括すれば、コストは削減でき、毛利館長はコントロール権を手に入れることができる。

実は、この二重構造の問題は3年前から毛利館長が文科省に訴えていたのに、変更できなかったのです。もともとは自民党政権が「民間に仕事を任せる」という方針をだし、その一環でまる投げされていた管理運営でした。結局、これがムダの温床になっていたことが明らかになり、今回、ここの是正を指摘して、減額、というのが仕分けの結論です。

仕分け人からは、「毛利館長にもっとたくさんの予算を預け、どんどん仕事をしてもらうべきだ」という意見も出るほどで、新聞報道とはだいぶニュアンスが違うのです。

実際、毛利館長の説明に対して、蓮舫議員からは「今回の仕分け作業ではじめて、本来聞きたい説明が聞けた」と絶賛していました。仕分け人は、その分野については必ずしも専門ではないので、きちんとした論理展開で説明されれば、突っ込みにくいのです。

■小学校への理科補助指導員派遣事業は、スジが悪すぎ

小学校への理科補助指導員派遣事業というのも、ばっさり予算が切られてしまったのですが、この背景も次の通りです。

子供たちの理科離れを危惧して、調査したところ、小学校教員は理科指導に苦手意識を持っていることが判明。科学技術振興の担当部局が、小学校に補助員を送る事業を始めて、好評だったので、続けたいというものです。

しかし、考えてみてください。もし教員が理科指導が苦手なら、文科省の小学校教育の担当部局が、小学校の教員に理科指導法の研修するのが本筋です。それが無理なら、理科の「専任教員」(音楽や図工のように)を配置するべきでしょう。それなのに、小学校の担当部局ではなく、科学振興の部局が外から補助員(大学院生など)を連れてきて送り込む事業をやる、というのは、本末転倒。そんなねじ曲がったことをやっていないで、本筋でやるように考え直せ、という議論だったのです。

 ★ ★ ★

という感じで、報道されていることと、実際の議論は、けっこうずれています。仕分け人の議論がいつも適切というわけではありませんが、予算削減や廃止という結論になっているものにはそれなりの理由があり、方向は大きくは間違っていないという印象です。

重要なことは、予算廃止が必ずしも目的の否定と言うことではないということです。目的を達成するのにそれが一番効率的とはいえない、ほかの方法を考えよと言う意味での結論が多い。

ひとつだけ、よくないなあっと思っているのは、海底ドリリング事業です。紀伊半島沖のプレートが交わる地点を7000メートルまで掘り、地震のメカニズムや地球の成り立ち、生物状況の研究を行うというもので、これは是非やるべきだった。事業運営にムダはありそうなので、2割程度の縮減という仕分けを僕は出したのですが、全体の結論は大幅縮減(実質中止?)でした。

しかし、こういう例は比較的少なく、判断はそれなりの正当性があるのではないかと考えています。

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>スパコンで示された事業の目的は「世界トップのコンピュータをつくる」「これによって日本の技術は世界の頂点に立てる」「米国に抜かれ、中国もすぐ後ろに来ている、危機である」「スパコンがあれば、ナノテクや製薬、環境などの分野で世界トップの研究ができる」というものでした。

充分説得力のある、理解できる説明だと思いますが?

基礎研究と応用研究の差は理解できますか?
国が主導でやる研究と民間が主導でやる研究の差は?
研究が試行錯誤であることすら理解できないのですか?


>毛利館長は開口一番、大きな声で財務省の指摘を圧倒し、あっという間に議論を自分のものにし、そのまま何も失わないばかりか、大きな果実まで持って帰りました。完勝です。

この発言にあなたの見識の無さがすべて現れています。
プレゼンが上手ければ、無駄な事業でも予算を通すのですか?
どんなに必要な事業でも、プレゼンが下手だと削減なのですか?
国家の政策というものを理解できているのですか?
通販で商品を売ったり買ったりするのとは別次元の話なのですか?

ロクに基礎知識も無いド素人が、国家戦略を左右する仕分けをやるからこういうことになる。
あなたに仕分け人としての資質はありません。

理科指導員に関しては、現場の先生たちからは、継続要請の声があがっています。本筋に戻すことが教育的に好ましいかどうかも、現場を知らずに判断されているのが残念です。

コメントとして公開いただく必要のない内容だと思いますので、表示していただかなくても大丈夫です。大変説得力のある中身でよかったです。仕分け人おつかれさまでした。ただ内容が素晴らしいのにあまりにも誤変換が多いのがとても残念です。見つけた限りを列挙しますので、お忙しいとは思いますが、可能な範囲で修正いただければ、より効果的に伝わる内容になると思いますのでよろしくお願いします。

ないよう→内容(誤変換ではないですが)
外貨の→が以下の
相違→総意
事故防衛→自己防衛
省庁ない→省庁内
に方式→二方式
省変更→小変更
地球気候も出る→地球気候モデル
改修→回収
刃が立たない→歯が立たない
官庁直下→館長直下(多分こちらの意味で書かれたのだと思います)
研修する→研修をする
正統性→正当性

唯一内容そのものへのコメントとしましては、「私はわかっていたので質問しなかった」というところで、これは国民目線では納得できません、国民目線ではそういう本質的な部分の矛盾に鋭く切り込んでいただいて、「二番じゃだめなんですか」などという不毛な議論をさっさと終わらせていただいた方がずっと建設的だったと思います。

Web中継と報道の小さくない誤差が気になっていたのですが、当事者からのご報告でスッキリ! 
Web中継リスナーの印象は、仕分け人ご自身の印象と精度良くマッチしていたわけですね。
ただ、仕分けの現場でのやりとりと日本科学未来館のステートメントの誤差がまた気になってきました……。

初めまして。

僕は理系の大学に進み、研究者を志望しているのですが、研究者の支援についての話なども、お話が聞きたいです。

僕の周りでは、日本は研究の場としてはこれからよくなくなっていくのではないか、海外に行くべきか、という意見も聞かれますし、僕自身将来どうすればいいのか、ということを悩んでいます。

「仕分け人を納得させる責任は官僚側にある」とか書いてるけど、そもそも官僚の説明を聞こうとする気がないように見えたのだけど。
そもそも、1時間程度で専門知識のない人間に、一体何を納得できるように説明しろと?
民間企業なら、1つの事案に2?3時間の会議をすることも普通なのだが。

paco様

はじめまして。私どもは、『ガジェット通信』という
ウェブ媒体を運営しております。

こちらの『知恵市場』に掲載されている、
「行政刷新会議、事業仕分けのメディアと実際の違い」
という記事を興味深く読ませていただきました。

行政刷新会議、事業仕分けのメディアと実際の違い
http://www.chieichiba.net/blog/2009/11/by_paco_113.html

この記事を、『ガジェット通信』に寄稿という形で
掲載させていただきたいのですがいかがでしょうか。

ぜひご検討いただき、もし可能でしたら、メールにて
ご連絡いただけませんでしょうか。

よろしくお願いいたします。

>国会議員である大臣が十分吟味し、官僚の勝手や
>お手盛りを防ぐはずですが、大臣はその事業分野の
>専門家ではないことも多いし、何しろたった1人で
>膨大な自分の省庁ないの起案を吟味することは
>実質的に不可能

つまり、行政刷新会議があれば、民主党政権の政務三役が全て無意味なものという事になるわけですね。

逆に、民主党が政治主導を標榜すると言うのであれば、行政刷新会議など必要ではなく、政治家だけで判断するべきでした。

行政刷新会議が有効なのであれば閣僚は無駄という事になり、閣僚が機能しているのであれば行政刷新会議は無駄という事になりますね。

多数の反対意見が書き込まれてるはずなのにコメント数は0なのですね。民間感覚とよくいいますけど、国の事業と民間の事業は別物でしょう・・・
判断が真実の結果ではなく官僚のプレゼン能力で決まっているだけですしね。、

同感です。毛利さんはちゃんとプレゼンやっているなぁという印象を受けていたのですが、思っていた以上に科学者の責務を果たしておられたのですね。僕もああいう人になりたいです。

ちきゅうに関しては厳密にいうと1)掘削事業は1?2割削減 2)JAMSTECの一部署であるIFREEについては来年度予算計上の見送りまたは半額削減 です。IFREEにはちきゅうのプロジェクトに関わっていらっしゃる研究者は多数おられますが、組織研究などは全く別物です。今回の仕分けの議論はちきゅうの話で、IFREEに関しては最後10分足らずでトップの天下りが指摘されているだけで、この部署に関する議論は皆無でしたので、かなり誤解されている部分があると感じています。IFREEについては僕が彼らの仕事をまとめてみたので参考にしていただければ幸いです。尚、ちきゅうに関してはあまり話をしていません。

今回の仕分けは新聞で報道されているよりはスパコンの廃止の決定など、ちゃんと機能していると感じています。が、IFREEの件については明らかに誤解されているので、今後の検証作業で見直していただければと。

もう少しIFREEについては業績など、書きたいと思います。

昨今のゲリラ豪雨などをみると、より迅速で正確・微細な気象予報が求められていると思います。気象庁が使用するスパコンはより高い性能が必要でしょうね。
確かに、スパコンのマーケットは小さくなっているかもしれないけれども、失われる人命・資産・時間がスパコンの数値計算結果によって少しでも減らすことが可能であるならば、スパコンの研究は無駄ではないと思います。
(他国からスパコンを買ってくれば良い、という話もあるやもしれませんが、他国の技術の限界が自国に影響するのも少々納得いかないですね)

コメントの公開が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。スパムが多いため、公開をチェック後に設定しています。刷新会議など、業務多忙なため、情報発信だけはとにかく先にと思ってきました。誤変換も修正するまもなく突っ走ってきたため、ご指摘の通りです。

たくさんのコメント、ありがとうございます。

新しい記事も書いたので、そちらもご覧下さい。またリンクは基本的に自由ですので、誹謗や中傷、悪意を前提としていない限り、ご自由にご紹介、ご批判ください。

コメントにいくつか、回答したいと思います。

◆「ice&fire」さん、あなたの指摘は当たっていません。国の施策を決めるにあたっては、事前にもののわかった専門家が審議会等で議論して、そのロジックをもとに省庁が仕分けで説明します。専門家が十分吟味したのなら、僕ら素人には口出しできないほど十分な内容になっているはずです。しかし現実には説明は穴だらけです。仕分け人は、説明不足を指摘し、説明が得られるなら、それ以上無為に否定することはありません。ということは「専門家」がきちんとした説明ロジックをつくれていないということです。スパコンでの問題は、「なぜスパコンに傾斜的に多くの予算を投じるのか」「3社中2社が抜けたのに、同じ開発方針でなぜいけるのか」について、十分説明がされていないことが問題でした。どちらも「専門化が十分検討した」というだけで、「どういう説明で、進めるべし」だったのかは説明がありませんでした。結論だけ言われても、納得できないので、大幅減額になりました。この点、毛利さんは、プレゼンがうまかったのではなく、なぜ重要なのかを自分の言葉で語りました。この差が大きいのです。最終決定は政治家が行うことになりますから、もしそれほど重要なものなら、仕分けの結果を踏まえて、理論武装し直し、政治家との交渉で勝ち抜いてもらいたいと思います。

◆tadashiさん、現場を知らないと言いますが、僕はこどもを育ててきているので、現場はよく知っています。父親としては珍しいぐらい学校に行っていたし、先生ともよく話していました。かんたんに言わないでもらいたいものです。現場から継続の声が大きいことはわかります。しかし、小中学校局が担当するはずの仕事をなぜ科学振興の局が担当するのか、その説明はありません。実施には、国→独立行政法人→道府県教育委員会→市町村教育委員会→学校と何個もの組織が間に入り、ダイレクトでないぶん、機能しにくくなっています。もちろん、ムダな予算も使われている。しかも派遣するのは大学院生で、ポストドクターならともかく、院生はもっとしっかり研究に没入してもらいたいという意見も多数ありました。もし、来年度までに新しい合理的な仕組みがつくれないなら、来年度だけは暫定的に継続というのはあるかもしれませんが、あと4か月あるわけですから、この間にベストを尽くしてあるべきしくみを作ってもらいたい。これが仕分けの趣旨であり、多くの国民には納得してもらえるのではないかと思います。

◆ka_oさん、コメントありがとうございます。日本で研究活動を続けられる環境を整えることには、まったく異論はありません。そのために、研究者にとって何がいいやり方なのかを、ぜひ考えて提言してほしいのです。僕は詳細はわかりませんが、現状、研究者への配分が一部の大学の教授がルートを独占している状態で、広く行き渡るようにはなっていない、という声も聞きます。残念ながら調査不足でこの点は議論できなかったのですが。ひとつ言えるのは、資金のしくみが複雑で、自分の研究がどれに該当するのかわからず、複数もらっている研究者がいる反面、まったくもらえない研究者もいる。資金をもらうと事務負担がかかる。負担分の予算も出ているのだが、大学が勝手に取ってしまい、結局研究者が事務負担をしている、というような問題も指摘されました。しくみをすっきりさせて、本当に現場の研究者にお金が回るしくみにする必要があると感じました。そのあたりのメッセージが文科省に伝わっていれば、よりよい制度になってカムバックすると思っています(そうなるべき案件です)。

◆bn2islander さんへ。「民主党が政治主導を標榜すると言うのであれば、行政刷新会議など必要ではなく、政治家だけで判断するべきでした。」という指摘は、まさにその通りです。今回は民主党政権初年度、しかも政権を取ったのが9月というタイミングだったので、刷新会議に存在意味がありました。来年以降、どのように位置づけるかは、民主党政権の大きな課題です。この点については、次の記事に書こうと思っているので、少々お待ちください。

◆Kalessinさん、IFREEについては、僕の理解が十分ではないので、よろしければご教授ください。

◆元気象部員さん、「スパコンの数値計算結果によって少しでも減らすことが可能であるならば、スパコンの研究は無駄ではないと思います」というご指摘は、まさにその通りだと思います。問題は、こういう観点からの説明が文科省からほとんど無いことなのです。地球シミュレータがどのような功績を挙げ、次のスパコンが何を実現できそうなのか、ほとんど説明がない。わかっているだろうといいたいのかもしれませんが、そこははっきり正しいロジックで説明してもらわないといけない。○○分野での「最先端研究」という言葉だけです。これでは説明者としてはまずい。僕はスパコンの取材もしてきたので(だいぶ前ですが)、価値はわかっています。それだけに、なぜ説明ができないのか、かえって内情の危うさを疑ってしまうわけです。また、気象庁の予測レベルなら、国費でつくるスパコンでなくても、富山大あたりがつくった超並列コンピューティングのしくみで実現できるのでは?と思いますが、認識が違いますか? 極端に言えば、日本が世界に誇るPS3のCPUを使って、超並列マシンをつくり、計算速度ではなく、実際の計算結果で差を付けるぐらいのことができないのか(米国防総省が研究に着手の情報在り)。スパコンは、完成してもタイムシェアリングなどで制約があり、結局ひとつの研究でみると十分性能を生かし切れないという現実もあるのを知っています。であれば、より手軽に利用できる中性能スパコンをたくさんつくって、国全体のスパコン利用のアウトプットをあげるといった計画もありうるのではないか。スパコン機能をつかってできるアウトプットを最大限にする計画になっているのかどうかを、問いたいと思います。

◆匿名希望さん、「私はわかっていたので質問しなかった」というところで、これは国民目線では納得できません」とのことですが、これは別記事で次回書こうと思っていますが、刷新会議ではここが難しいところなのです。事業の本質的な是非について、充分にやりとりする議論のフレームになっていないところがあるのですね。やってはいけないと言われているわけではないのですが、議論の主眼は「目的自体より、その目的を達成する方法として妥当か」というところにあり、なぜそれをやるのかという点にどの程度議論を突っ込むべきかは、かなり神経を使われる議論ではあるのです。この点、次回記事に書きたいところなのですが、うまく表現できるか……やってみますね。

スパコンについて、世間であまり議論されていないように思われる重要なことを3点、その他について1点指摘させていただきたいと思います。

スパコン1点目。
>富山大あたりがつくった超並列コンピューティングのしくみで実現できるのでは?と思いますが、認識が違いますか? 極端に言えば、日本が世界に誇るPS3 のCPUを使って、超並列マシンをつくり、計算速度ではなく、実際の計算結果で差を付けるぐらいのことができないのか(米国防総省が研究に着手の情報在り)。

超並列コンピューティングが有効な分野とそうでない分野があります。
また、単に並列化を行っても規模が大きくなるほど実際の性能が出なくなってきます。
「アムダールの法則」で調べると詳しい情報が得られると思います。
(LINPACKでなく)実用レベルの計算でしっかり性能を出そうとすると、CPU内部の構成(レジスタ数、I/Oとの接続など)だけでなく、CPUやノード間・I/Oの構成も非常に重要になってきます。

2点目。
1点目のものや先日の長崎大のものもそうですが、これら汎用品を繋げたものの信頼性についてです。
科学技術向け演算は何十時間も連続稼動させることになります。
また、半導体の微細化が進んだ結果、CPUやメモリをはじめとした機器は環境に対して非常にセンシティブになっています。
コンシューマで使っているように毎日電源を落とす程度のものならさほど問題になりませんが、何十時間も数千ノードを稼動させている状況では、宇宙線や発熱によるCPUやメモリのエラーは無視できません。(64bitレジスタの最上位1ビットが化ければ、意味する数値は約8.82×10^18も違います)
地球シミュレータや京速で使われてるデバイスは、そのようなエラーに対しても検出・訂正できる機能を有しています。
したがって、演算結果が間違っていても良いものはともかく、(核反応試験や薬物反応試験など)人命が関わるような用途に対して、いわゆるクラスタで良いと言い切るのは横暴になります。

3点目。
国防と調達性の問題です。
安くクラスタを作るとなればIntelなりnVidiaからCPUやGPUを買い付けることになります。
一般レベルならそれで良いと思いますが、トップエンドとなると話は別になります。
スパコンは性格上、軍事・防衛や最先端医療などに絡むので、自国(Intelの場合はアメリカ)に競合するレベルのものは売ってもらえない可能性があります。
近い例としては戦闘機で、F-22はそのままではもちろん、劣化版ですらメチャクチャに上乗せした額が提示されています。しかもアメリカの姿勢としては(F-22に劣る)F-35を買え、と圧力をかけてきています。
したがって、そのような分野においては単にコンシューマ市場のものと価格性能比較をしてはダメで、国家間のパワーバランスも考慮するべきです。

そして最後に仕分け全般に対して1点。
確かに専門家側の説明には「もう少し何とかならないのか」と思うには十分すぎるものも少なくなかったと思います。
しかし国を運営するという観点から考えて、「説明ができていないので事業はキャンセル/縮小」としてしまって問題は無いのでしょうか。ディベートは(この場合、国をより豊かにする)手段であって目的であるべきではないと思います。
仕分け人側も議論で打ち負かすことに必死で、そもそも何のためにその事業が「国家として(つまり民間では何らかの理由で行われなかった)」行う必要があったのかを真摯に考えているとはいい難い方もいらっしゃったと思います。
専門家側の説明に問題があるなら、「?という観点から説明して下さい。例えば?などのメリットはありませんか?」などと誘導して要点を聞き出す必要があると思います。(こんなことをしないと説明できないのは残念ですが)

ice&fire氏が言う「国が主導でやる研究と民間が主導でやる研究の差」は、そういうことだと思います。

yasさんへ。

基本的に、ご指摘の点はよくわかります。もし、文科省の担当者がyasさんのように説明してくれれば、わけの議論はかなり違ったものになったと思います。

文科省の説明は、専門的な情報と、それが意味するところの説明のあいだが乖離しすぎていて、説明が伝わらないのです。

それはそれとして、yasさんのご指摘の点は、一応わかっているのですが、僕が「スパコンの必要性を検証すべき」という場合、以下のような議論も含めるべきだと思っています。

「地球シミュレータや京速で使われてるデバイスは、そのようなエラーに対しても検出・訂正できる機能を有しています。」

という点はわかるのですが、では、エラーを「検出・訂正する」技術のために1000億円かけるという文科省の方法がある一方で、「安くつくった超並列システムを複数台動かし、近似的に誤差を少なくする方法」など、代替手法を検討し、それでもスパコンが最適解であることを検証したのかどうか。という点も確認したいところです。

というのは、確かに、スパコンならではの領域があることはわかるし、その領域では高性能なスパコンは、かんたんにライバル国から入手できない、ということもわかります。しかし、スパコンの開発競争が始まってすでに30年以上になり、それでも同じロジックで競争を続けていくのが妥当なのか、という検証は、注意深く、常に行う必要があると思います。スパコンでないとダメという領域は確実に小さくなっており(だからこそ、NECと日立が撤退した)、スパコンが本当に日本の競争力の源泉になるのか、不断の検証がなされているのかは、仕分け人として追求すべき点です。

僕はいくつかの「審議会」に出てきましたが、多くはメンバーが固定化されており、前年の議論の延長で議論が進んでいます。そのためドラスティックな議論が出ないのが実情で、それ故に「お手盛り」の結論になりやすい。仕分けはこういった構造を打ち破るためにあると思っているので、もし仕分けの結果が本当に間違っているなら、改めて徹底した検証を行った上で、再度事業価値をプレゼンしてほしいと思います。

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