(by paco)【pacoの目×ecoの芽】010 「エコエグ講座:淡水資源」

| コメント(0) | トラックバック(0)

(by paco)昨日、火曜日、環境リレーションズ研究所会議室で、エコエグゼクティブ講座を開きました。毎月1回、pacoさんの環境実践勉強会です。今回も8人集まってくれて、製麻会議室はほぼ満室です。

今回のテーマは、「淡水資源」。地球は水の惑星で、10億トンとも言われる水に覆われていますが、そのうちの97%は塩水(海水)で、人、動物、植物は利用しにくい水です。淡水は3%未満しかなく、さらにその多くが氷や深いところにある地下水として存在しているので、人間の利用が難しい。人類が利用できる水は、全体の0.2%とも言われています。

その淡水資源が今回のテーマ。淡水資源は、今後石油以上の戦略物資になっていくだろうと言われ、環境問題やグロバリゼーション、経済問題と密接に関わっています。

かつては、水はそれぞれの国の国土に降った雨の量が、その国の国民が利用できる水の量でした。しかし、グロバリゼーションは「水の貿易」を可能にして、世界の水事情を一変させました。水の貿易と言っても、ペットボトル入りのエビアンのようなものではありません。食糧です。

植物が育つには、大量の淡水が必要です。小麦1kgをそだてるには淡水2トン。ふろ10杯分の水が必要です。米ならは4トン弱。さらに、牛肉なら20トンにもなります。穀物を育て、その穀物を与えて牛を育てて得られるのが牛肉なので、必要な水の量はどんどん増えるのです。

日本は「世界一の」食糧輸入国ですから、それだけたくさんの水を輸入していることを意味していて、こういった意味での水を仮想水、バーチャルウォーターと呼びます。

世界の食糧事情が厳しくなることで、水も戦略物資になり、なる、というメカニズを全員で確認したあとで、水の利用についての考え方をお話ししました。

水は単純に降った雨量がそのまま利用量を意味しているわけではありません。ここが不思議なところ。1の雨が降って、それをためて家で使ったとしましょう。炊事やトイレで使ったので、1の下水が出ます。この下水を「汚れた水」として川や海に流して終わりにしてしまうと、1の水は1の利用効果しかありません。しかし、その1を浄化槽できれいにして、さらに浄水場きれいにすれば、隣の家で使えるようになります。トイレで流した水だって、ちゃんと浄化すれば、飲めるようになるのです。

汚いって?そんなことはありません。すべての人は「下流に住んでいる」という言葉があります。誰かが誰かの下流だということです。東京の水は主に利根川の水ですが、上流の街、沼田や高崎や熊谷や上尾やさいたま市で使った水が処理されて再び川に流され、それを取水して水道水に使っています。繰り返し使えるのです。繰り返し使えるような「汚し方」に留めることが条件になりますが。

このように、使って浄化してを繰り返せば、1の水が10にも1000にも使うことができます。水のこういう特徴を理解して、どのような水インフラを構築するかが重要なのです。

具体的には、日本の都市で使われている流域下水道(一括下水道)は、個別住宅ごとの浄化槽と比べて、繰り返し使える回数が減るので、あまりいい利用補ではありません。もちろん、ある程度以上の規模になると流域下水道の方が効率がいいのですが、農村部にまでひろげようとするのナンセンスです。

農業でも同じで、灌漑によって水が中流域で使いつくされていますと、下流は川の流れが断流してしまいます。これも生態系を壊し、環境を悪化させるのですが、灌漑よりも効率的な栽培技術の開発のよって、ある程度解消できると考えられます。

淡水資源は、佳境問題と資源問題の両方に影響の大きな資源です。あまりに身近なだけに、適切な利用法が考えにくいのですが、ぜひとも取り組んでいかなければならない分野です。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://w0.chieichiba.net/mt/mt-tb.cgi/846

コメントする