(by paco)【pacoの目×ecoの芽】008 CO2削減25%は可能か?

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(by paco)鳩山政権が誕生して、マニフェスト通りに打ち出されたのが、CO2の25%削減。麻生政権がすったもんだしたあげく、8%削減を出してきて、国際的に猛ブーイングを受けたのをわかっていない日本人は、6%削減と言っているのに、現状8%も増えちゃっているのだから、せいぜい8%削減ぐらいでやっとじゃないの? 25%なんて無理、と思う人が多いようです。

長らく温暖化問題に関わってきている僕の感覚からすると、未だにそういう感覚が平均的な日本人の意識なんだなあと、改めて愕然とするのですが、結論から言えば、この目標は、「容易」とは言わないものの、十分可能な数字です。それも、経済発展と生活の質の向上を確保しながら、です。もちろん、ていねいに施策を打ち、副作用を防ぎながらという舵取りが必要ですが、非現実的な数字ではないので、まずその点は安心してください。

日経エコロジー誌はじめ、いろいろな媒体での取材や研究でわかっていることですが、これまで特に何も温暖化対策をやってこなかった会社が一般的な企業が、手っ取り早くやれることをやるだけでも、10--20%はすぐ減ります。具体的には、天井のエアコンにファンをつけて空気を攪拌するとか、窓に防熱フィルムを貼るとか、屋根に断熱反射塗料を塗るとか、そういうレベルでまずはできます。夏にエアコンを使わないとか、そういう必要はもちろん無いし、営業車も必要なら使っての話しです。できれば営業車はプリウスやインサイトに買い換えるべきですが、それも、リースや減価償却期間が終わって、入れ替えの時に、採算性を考えて決めればいい話です。クルマを多く使う事業なら、エコ・ドライブと安全運転研修を徹底すれば、ガソリンの使用量は5%から最大30%も減る事例が出ます。交通事故が減り、自動車保険の負担も減ります。


産業的に言えば、やりようが無くて困るのは製鉄業界でしょう。製鉄業界だけは、そのままでは生き残れません。工場の海外移転などの対応が必要になるでしょうが、本質的には、高付加価値の製品に特化して、生産量は落としても売上利益が確保できる体質にシフトすべきです。すでに粗鋼生産量で規模を競う時代は終わっているので、尺度を映して競争すれば、鉄鋼業界にも生き残りのチャンスがあります。他の製造業も、25%程度なら問題ないでしょう。むしろ、サービス業や商社など、もともと低炭素な事業が、目先の省エネを超えてさらに削減できるかどうかですが、別の尺度を導入する必要があるでしょう。これについては、また機会を改めて説明します。

家庭生活は、変化するでしょうが、意図的に大きく意識を変える必要はありません。世間の流れに身をまかせていれば十分です。世間の流れというのは、たとえば今年はエコポイントで省エネ家電が売れていますが、そういうようなお得な政策や流行に乗っていけばいいのです。もちろん、本当にいいものと、あやしげな物を見分ける懸命さは必要ですが、それは消費生活全般にいえることで、環境問題だけの話ではありません。

いちばん変化が必要なのは、電力業界とガス業界でしょう。特に電力業界がどれだけこの世界の変化を理解し、行動がとれるか、また政治がそれをどう誘導できるかが、カギを握ります。日本は京都議定書の基準年である1990年比8%増加しているのですが、それは消費量が伸びているのではなく、石炭を使う発電所が大量につくられたからで、8%の増加分と、石炭発電所の発電量は、ほぼ同量です。もし石炭発電所をつくらずに、石油かガスでつくっていれば、1990年比、0?1%は容易に達成できていたのです。石炭発電が増えた理由は、コスト面で石炭が有利なこと、資源量が豊富で枯渇の心配がないこと、排ガス浄化技術が進んで公害問題をクリアできるようになったことが理由ですが、この中に温暖化防止の視点はありませんでした。

以上のような方向に舵を切った上で、風力、太陽光、太陽熱、地熱、小水力など、国産の再生可能エネルギーを使う仕組みをつくれば、25%削減は十分可能です。何しろ日本は人口減少国ですから、黙っていてもCO2は減る圧力なのです。びびることはありません。

尚、この点も含めて、J-WAVEでのインタビューが参考になるので、ぜひ聞いてみてください。ちょっとノイズが多くてすいません。CO225%削減は可能か?

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