(by paco)【pacoの目×ecoの芽】003 ポール・ラッシュに学ぶ行動力 -2

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(by paco)昨日の火曜日、環境リレーションズ研究所でAIRミーティング「エコエグゼクティブ講座」を行いました。

清泉寮のポール・ラッシュさんの伝記映画アニメ映画「夢かける高原」を見たあと、簡単な意見交換とレクチャーを行いました。

僕も久しぶりに見たのですが、改めてみてももどころ満載で、スゴイ人だなあと実感します。

参加8名の方からの映画の感想は、こんな感じでした。

「こんなに日本に貢献した人なのに、ぜんぜん知らなかったし、知られていないことに驚いた」
「夢や想いがこれほど重要だと改めて気がついた」
「ポール・ラッシュさんが日本の酪農や高冷地農業の基礎をつくったとは知らなかった」
「野球やアメリカン・フットボールへの貢献も知らなかった」
「東京の聖路加病院の創立にも貢献していたとは……」
「同じ山梨県出身なのに、知らなくてびっくり」
「清里の清泉寮は行ったことがあるし、アイスクリームはおいしいけれど、観光施設だと思っていた」
「マリコちゃんの死が切なくて泣けた」

やはりみんなポール・ラッシュさんの存在を知らなかったんだなと改めて思ったのと同時に、見てもらったよかったと思った次第。僕も、この映画できた2002年に清泉寮で行われた上映会で見て、はじめてポール・ラッシュさんの経歴と偉大さを知ったわけで、NPO活動に関わったり、植林ををするきっかけになった映画です。

僕の方からお話しした内容は、こんな感じです。

・アメリカ人やキリスト教文化における寄付の考え方がよくわかる映画。アメリカでは共和党と民主党という二大政党が対極的なイデオロギーを代表しているが、共和党的な考え方がよくわかる。困っている人は助けなければという思いはどちらもいっしょだが、現オバマ政権のような民主党では、税金を集め、中央政府が役割を担うべきと考える。共和党では、政府を信用しない傾向があり、なるべく民間で相互に助け合うことこそ重要だと考える。見知らぬ男が教会のミサに来て、演説して寄付を訴えても、日本では信用されない。寄付とかいって自分のポケットに入れるつもりだろうと疑う。共和党的イデオロギーでは、個人が誰かを救いたいという想いの純粋さを信頼し、寄付が集まる。政府が一括してやるより、想いのある個人のほうが信用できると考える。米国の民主党、共和党、そして日本人、三者のメンタリティの違いを知っておくとよい。

・個人の善意を信頼できると考える背景には、キリスト教(特にプロテスタント)の「神と直接向かい合う個人」という考え方がある。神を前にして善を語る個人はウソをつかないだろうという信頼があるのだろう。カトリックでは、個人と神との対話は教会を媒介にして行われるので、ちょっとメンタリティが違う。米国のプロテスタント的な(ピューリタニズム)個人対神のメンタリティは、カトリックよりむしろユダヤ教に近く(ユダヤ教も、司祭は個人と神の間を仲裁しない)、これがピューリタン国家・米国とユダヤ教国家・イスラエルのメンタリティの共通点やシンパシーの源泉になっている。

・日本も50年ほど前まで、僕らの親や祖父母の世代には、飢えの恐怖と隣り合わせの暮らしが当たり前だった。貧しい生活をなんとか豊かにしようというおもいにポール・ラッシュさんの想いが後押ししたのだと思う。

・映画の中に小菅村から清里に移住した人たちが出てきたが、この人たちは東京の水瓶、小河内ダムに沈んだムラから強制的に移住してきた人。移ってきた清里の生活はさらに厳しく、土を掘ると巨大な岩が出てくるし、土は痩せていて、そもそも石だらけで土がほとんど無く、水を得るのもたいへんだった。井戸はあったが真冬は凍ってしまい、数キロ離れた弘法坂に凍らない清水があり、水を汲みに行った。行きは下り坂だが、帰りは重い水をもちあげなければならなかった。

・ポール・ラッシュさんは弘道所というコミュニティセンターをつくり、農業や保健の情報を住民に提供した。こういう貢献は今も途上国で真っ先に行われていて、安全な水や食糧の摂取のしかたから、生活向上は始まる。

・ポール・ラッシュさんの努力が実って、清里の生活が安定してきた1960年代から10年後、アンアン・ノンノブームが起こって、都会から団塊世代の男女が「おしゃれな牧場がある高原」として清里に大挙訪れるようになった。駅前にミルクポットがつくられたのもこの頃。

・緑に塗られた米国製ジョン・デアの大型トラクタは清里開拓の象徴で、ポールさんが集めた寄付によって日本に送られた。北海道など大規模農業の場所で今もよく見られる「ブランド」だが、近代農業の象徴。

・ポールさんは、誰もが無理とあきらめていた高冷地酪農・高冷地農業を、酪農の専門家でもないのに、成功させた。考え抜き行動することが、ものごとを動かす。


ということで、今回もたくさんの方に来ていただいてうれしかったpacoでした。次回は9月9日(水)です。

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