(by paco)【pacoの目×ecoの芽】001 温暖化防止5社連合に見るマスメディアの限界

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(by paco)日経BPサイトで続けてきた環境についてのコラムが先月で終了したので、せっかくなので、知恵市場で続けることにしました。タイトルも変えて、【pacoの目×ecoの芽】ということで、原則的に毎週水曜日か木曜日にアップの予定で週刊で書いていきます。日経BPサイトの記事もほどなく消えてしまうのではないかと思うので、バックナンバーとして掲載するかもしれません。

今週は、「温暖化防止5社連合」について。

7月30日に、「温暖化防止5社連合」が始動したと報じられました。このニュース、目にした人はいますか?

『富士通やリコーなど国内の大企業5社が30日、地球温暖化対策に真剣に取り組むことを宣言して政策提言なども行う組織を設立、温室効果ガスの排出が少ない「持続可能な低炭素社会づくり」を目指す「共通のビジョン」を発表した。 連合組織「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)」に参加したのは、2社のほかイオン、東京海上日動火災保険、三菱東京UFJ銀行』……

僕はこのニュースに素早く注目したのですが、そういえばあまり注目されているようすがないなと思い、改めて「温暖化 5社連合」などで検索してみると、記事を掲載しているのが、北海道、秋田、沖縄など、地方新聞ばかり。首都在住メディアの扱いは、ほとんど無かったのかもしれません。

このメディアの扱いから見ても、今回の5社連合の意味がわかりそうです。

「5社連合」の設立趣意を見ると、温暖化防止が世界の潮流なら、それに早く乗った方が経営上有利という考えが見えてきます。これは僕が著書「環境経営の教科書」で書いたことと同じで、温暖化防止がマーケットのルールになるなら、早く取り組んで先んじた方が先行者利益を確保できます。実際、リコーやイオンなどは明確にその方向に舵を切っていますから、経営上のメリットがわかっているのでしょう。

一方日本の大手企業が集まる経団連では、重厚長大産業を中心に、温暖化防止はどうしても本気で取り組みたくない「タブー」であるようで、上記連合のひとつリコーのトップが経団連で温暖化防止の講演を行ったところ、反対派である重厚長大産業の意向を受けた経団連事務局が講演への入場者(入場企業)を露骨にチェックし、「反体制派」を牽制していたので、入場者はとても少なかった、とかいう話を聞きました。真偽のほどはわかりませんが、そういうことから考えると、今回の5社連合は相当に「勇気」のいることで、別の言い方をすれば「業を煮やしてやむを得ず」つくったという感じも透けて見えます。

こういう構造を踏まえると、在京の大メディアがこの連合結成を報じなかったのもよくわかるというものです。以前トヨタの奥田会長が「広告を止める」発言をしたことについて、「破廉恥!」と論じましたが、経団連のメインストリーム企業を敵に回したら、ただでさえ不況で青息吐息の、メディアはひとたまりもありません。一方、地方新聞は大手企業からの広告収入の比率が低いので、遠慮なくベタ記事扱いで報じることができたのでしょう。

5社連合のメンバーを見ると、各社真剣に取り組んできたと思われる会社がなので、連合を組まなくても各社のアクションはやっていくのでしょうが、まとまることで、影響力を発揮したいという意図は見えてきます。グローバル企業なので、欧州など、先進地域からの批判をかわし、一線を画していることをアピールしたいという面もあるのでしょう。

気になるのは、この5社連合の仕掛け人で、どこかにかなり意志の強い人がいるのではないかと思います。どんな人なのか気になります。


日本は環境先進国と思っているのは、日本人だけに、になってしまいそうなぐらい、今の日本のエコアクションは情けない状況です。
http://eco.nikkei.co.jp/column/iida/article.aspx?id=MMECcm000026062009
読者の皆さんも、日本の困った状況について、目を向けてほしいと思っています。

ということで、このコラムでは、環境関係のニュース解説や新しい芽を中心に、pacoの目が見つけたネタを拾っていきます。

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