(by JIN)孤独死

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(by JIN)
今の日本を代表する女優の1人、大原麗子さんが孤独死で亡くなったとの報に接し、非常に悲しい気持ちになりました。体が動かなくなる持病を抱えたまま、死後2週間も放置されていたとのことで、亡くなるときに、どんなに苦しくまた淋しい想いをされたか、お気持ちをお察しします。陰ながらご冥福をお祈りするばかりです。

孤独死については、高度成長期に林立された団地等で、高齢者の方々がそのような最期を迎えるケースが多いとの情報はかねがね聞いていましたが、それと同じ最期を往年人々の注目を集めた大女優までが迎えてしまったという状況の中で、改めて「孤独死」について考察してみました。

考察は、次の2点から進めてみました。
1.自分自身の老後をどう考えているか
2.今後、世の中が孤独死防止に向けてどのように進んでいくか

1.自分自身の老後をどう考えているか

私は、住宅は、定年まで賃貸で過ごそうと考えています。その大きな理由が、その時代に合った人との交流を常に保てる環境に身を置きたいと考えているからです。

住宅を購入してしまうと、その住宅環境の周囲の人たちとの関係の中で、社会的な繋がりを築いていかざるを得なくなります(もちろん、投資用にいくつも住宅を購入できる余力のある方はここでは対象外です)。しかし、都会のベッドタウンの住人は、昔から日本の農村にある土地に根ざした濃密な人間関係から切り離された「お互いに干渉しない」ことを基本的価値観としています。そうした希薄な人間関係の中で一生を縛られると思うと(30年間ローン等)、将来、孤独死のような状況を迎えかねないリスクを感じてしまうのです。

私の場合、65歳定年まで、あと四半世紀あります。その頃には、第2項で論じるような、高齢者のコミュニケーションをお互いにうまく取って行けるような環境のアイディアが種々出て来ていることが考えられます。今の住宅環境は、賃貸という形でフレキシブルにしておいて、将来予想される様々なプランを選択できる余地を残しておきたいのです。四半世紀の間に(生きていれば)、自分にとってベストな方法をじっくりと検討していきたいです。


2.今後、世の中が孤独死防止に向けてどのように進んでいくか

従来の都会のベッドタウンの住環境は、特定の人生モデルを想定して作られていました。つまり、学卒後しばらく独身のサラリーマン(公務員)が妻を養い、子供を何人か育てていくというモデルです。学卒後は親元または寮・社宅で生活、結婚後はいずれ住宅を購入し、子供に住宅を残す、というモデルです。

しかし、最近は、このモデル自体が成り立たない事態が生じています。親元を離れない社会人や単身世帯(未婚者・離婚者)が増加しているためです。住宅業界では、増加する単身世帯に向けた営業政策が求められていると聞きます。

また、人は住環境に周囲とのコミュニケーションを求めます。十年以上前になると思いますが、堺屋太一氏が日本のコミュニケーションのあり方の推移を「血縁→地縁→職縁→好縁」と呼んでいました。血縁・地縁は戦前の話。戦後は職場の人間関係を中心として来たが近時その潮目が変わり、「好縁社会」に移行していくというものでした。

住宅業界としては、今後、単身世帯向けのサービスや「好縁」を形成できるようなサービスを今後拡充していく必要に迫られると考えられます。そうした状況の中で、今、私が注目しているのは、老後、高齢者がコミュニティをつくっていく試みです。基本的に、頭金があれば、それなりの公的年金で賄っていける施設で、アクティブシニア向けのものと要介護シニア向けのものとに分かれています。今後、そうしたコミュニティは折に触れてウォッチしていきたいと考えています。

他方、すでに都会で住宅を購入された方にとっては、近所でも「お互いに口出しをしていく」仕掛けが何らかの形で必要なのだと思います。NHKの「ご近所の底力」等でいくつか実例が紹介されていますが、趣味の同好会をつくったり、訪問し合う機会をつくったり。

いずれにしても、地方社会での人間関係のしがらみを断ち切りたい一心で都会に進出してきた都会人ですが、「職縁」が希薄化した今日、何らかのコミュニケーションづくりが求められています。その背景には、人の「人に承認されたい」「人と繋がっていたい」という切ない欲求があります。私はこの欲求は、人間の尊厳と密接に関わるものだと考えています。

「人との繋がり」の疎外化の極致と言える「孤独死」。これが、人々の憧れである大女優にまで訪れてしまったというのは、この国は、やはりどこかおかしいです。都会人が地方社会のような人間関係に戻るというのは中々困難だと思いますが、何らかの形で「人との絆」を深めていくような仕組み作りを形成していきたいものです。
(by JIN)

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