(by yuki)50人の15インチテレビ

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(by yuki)とある日曜の夜の光景です。こちらに来てから始めたゴルフの練習をするため、一人打ちっぱなしに行き、コンビニに寄って部屋に帰るところでした。練習後のビールを楽しもうと考えながら、コンビニからマンションまでの500mの道には、もう暑くなり始めた広州では、外で涼んでいる人がいっぱいいました。ちょうど私のマンションの向かいに工人(一般的には農民工と呼ばれる地方からの出稼ぎ者)たちのプレハブがあります。部屋の中に水道やトイレはなく、数十人から100人ほどが共用で別のプレハブの中にある水を使用しているような状況で、もちろん部屋にエアコンなんかもない。夕涼みをするには屋外が一番なんでしょうね。Tシャツのすそをまくりあげてお腹を出しながら、道路に座り込んで仲間たちと飲んだり話し込んでいる彼らの横を、一人夜に歩くのはなかなか怖いものがあります。

ゴルフセットとコンビニの袋を持ちながら、とりあえず早足でその場を通り抜けようと思っていると、何十人もが外に並べた椅子に腰かけ真剣に一点を見ている光景が目に入りました。「何だろう?」と思って覗き込んでみると、テレビを見ているところでした。50人ほどの工人たちが、わずか15インチほどのテレビから流れるニュースを一心に見ているのです。中には14,5歳くらいにしか見えない少年もいたし、40歳くらいの中年男性もいる。酒を飲みながら、タバコを吸いながら、すぐそばを大きなねずみが横切っても全く気にすることなく、小さなテレビ画面を50人の中国人男性がただただ見つめている、そんな光景でした。

何十年か前の日本で、街頭や近所で唯一テレビを購入した家にみんなでテレビを見に行く、そんな感覚に近いのかなぁと思いながら、でも2009年現在の中国に家にテレビがあるなんてそう珍しいことでもない。この国の経済格差って、きっと私たち日本人が想像するよりも、もっと計り知れないものがあるんだろうなぁと、目の前でまざまざと見せつけられたような気がします。

田舎から出稼ぎに来た父親が、上海や広州などの沿岸部で、田舎の子供に「せめて小学校くらいは卒業させたい」と思いながら建築現場の仕事をする。そんな彼らが建てた40階建てのマンションの一室に日本から来た私が住む。その私の同僚は、中国では勝ち組となる大学・大学院卒の中国人スタッフたち。日本語を巧みに操る彼らの訪問相手は日系企業の日本人駐在員たち。日本人駐在員たちの彼らの家族は日本にいて、その家族が購入する食品や服はmade in China。そのmade in China商品を作るのは工場で働く10代の若者や、田舎で農業をしている農民工の家族たち。
こうして回っているんですよね。

プレハブの前の15インチのテレビを真剣に見つめる彼らの姿を見て、彼らよりも恵まれた環境に生まれ育った私が、もっと頑張れることはきっとまだまだある、そう思った夜でした。

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