(by yuki) 近くて遠い国 <中国に残る理由>

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(by yuki) 前回・前々回は「中国人の反日感情」「日本人の反中感情」を書いてきました。では、私自身の中国や中国人に対する思いはというと……複雑です。嫌いではない。でも100%好きという感情だけではないのも確かです。
もちろんこの国の全てが好きなわけじゃない。何年もこの国で生活しているけど納得いかないところはいっぱいある。でも…「日本のアニメや文化は好きだけど、日本や日本人は好きじゃない」なんてセリフ、できれば聞きたくない。日本人のことを良く思わない中国人は多いし、そのせいで中国のことを良く思わない日本人も多い。だから自分くらいは「悪い面も含めて、中国に歩み寄る日本人」でいたいと思います。

高校卒業後、すぐにこの国へやって来ました。それは中国が好きだったとか憧れがあったからというわけではありません。私なりの「投資」だったんです。
もともと海外留学はしたいと思っていましたが、英語圏の大学へ四年間も行くには両親への経済的負担をかけすぎると思っていた時、中国留学を見つけてしまったのです。当時、中国がWTOに加盟するかどうかという時期だったと記憶しています。もしかして中国語ってこれから武器になるんじゃないか?就職活動で苦労しないんじゃないか?その程度の考えでした。「経済発展している国」「留学費用が安く済む国」という条件さえクリアしていれば、留学先は中国でなかった可能性は大いにあります。

それまで旅行ですら来たことがなく一度も足を踏み入れたことすらなかったのに、よくもまぁ18の子供がそれから先の数年間をやっていこうという気になったものだと自分でも思います。今考えればなかなか無茶な話ですね。
はじめは言葉も分からない、知り合いもいない、食事や生活習慣も日本とは全く違う。来て数週間で入院までしてしまう始末でした。何度「日本に帰りたい!」と思ったか数えきれません。実際、2003年春にSARSが大流行した時は、本帰国する日本人留学生はたくさんいました。中国から離れる絶好のタイミングだったかもしれませんね。私の場合は反対する親を説得してまで中国に来た以上、途中では帰れないという意地もありました。でも、しばらく住んでいれば生活には慣れるし、助け合う仲間も親切な中国人の友達もできました。トータルでは非常に楽しい留学生活でした。

卒業後は中国に残ろうかどうか迷ったあげく、帰国して日本で働くことにしました。留学前の計算通り(?)就職活動は苦労しなかったし、安定した職と収入も手に入れることができました。日本での生活は中国にいた頃を思えば快適そのもの。日本語は通じるし、どこに行っても安全で清潔だし、何不自由なく便利な生活。自分はこのまま日本で働いていくのだろうなぁと思っていました。

…でも、自分の中で何か焦りや満たされない思いを感じずにはいられなかったのです。

・何のために中国で苦労してきたんだろう?
・子供の頃なりたかった自分ってこれだっけ?
・結局「やらなかった後悔」が待っている人生なんじゃないか?

そんな疑問を抱えたまま悶々と過ごす日々の中、中国で募集している求人を見かけたのです。自分の求めていたのはこれだ!と思い、迷いはありませんでした。いや、多少は迷いました。せっかく手に入れた安定を捨ててまでまた中国に戻ったところでどうなるのだろう?今はよくてももっとずっと先はどうしよう?と。

家族、友達、安全、安定、収入…。

どれを取ったって、日本人の私は日本にいるのが一番楽なはずなのです。先の見通しが不透明な中国で、現地採用で働くことにメリットなんてほとんどないんですよね。
でも…大きな会社で出世していくことや、人より多い収入を求めていたわけではないと気付きました。人はそれぞれ求めるものがちがって当然だし、私が求めるものはそれらではないかな、と。20代半ばの自分が何十年先のことを考えて怖気づく必要があるのか、と。

中国に戻ろう。
そう決断した2ヶ月後、私はもう中国にいました。大学時代を過ごし慣れ親しんだ北京ではなく、縁も所縁もない広東省広州。普通話は分かっても広東語は分からない、知り合いもいない。よく考えれば、7年前と似た状況です。違いといえば、北京で生活するよりも多少の不便と危険が多めなことと、中国語の標準語には困らないことくらい。それでも、毎日がぎっしりつまっていて、生きているんだと実感できる。自分のアイデンティティを自覚することができる。子供の頃やりたかったことをできているかどうかは分からないけど、子供の頃なりたかった自分にはなれていると思うことができる。日中間の問題は人より多く見てしまうけど、けっこう上手くいっている光景も日常に見ることができる。いつか日本と中国が本当の隣人になれると期待できる瞬間を感じることができる。
それこそが、私が中国を選び、今でもこの地に留まり続ける理由だと思います。

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コメント(1)

yukiさんはグロービスで何回か、振り替えできていただいただけで、直接はあまり話せていないのですが、印象は、すらっとしたきれいなおねえさん、という感じの人です。

でも、書いている内容を見ていると、この人は探検家なんだなという気がします。チャレンジャーというより、探検家で、未知の人の間に分け入っていくような生き方が性に合っている、という意味で、印象よりずっと力強い人なんだと思います。逆に、知恵市場で書いていることを読んでいて本人に会うと、ギャップに驚きそう。

ちなみに僕はたぶんチャレンジャータイプで、どこが違うのかというと、チャレンジャーは結果がほしくて行動する、そのために挑戦の経過を楽しむ(できればリスクは最も小さくしたい)。探検家は、ちょっときわどい挑戦の時間そのものがほしくて行動し(リスクそのものがが楽しい)、結果については成り行き任せでどこか関心がない。そんな感じかな。

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