(by paco)イスラエルがパレスチナガザ地区を空爆

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(by paco)速報で入ってきたニュースですが、イスラエルがパレスチナ自治区のガザ地区を空爆し、150人を超える死者が出ているようです。イスラエルとパレスチナは、6か月の暫定停戦期間が終わって、緊張感が高まったいたのだけれど、再び本格的な交戦状態に戻る可能性が出てきました。というより、今度こそ、中東で大きな変化が起きるかもしれません。

これまで、中東での戦争はイスラエルの圧勝で、パレスチナやアラブ、イスラム勢力は劣勢だったのですが、今回ばかりは仕掛けたイスラエルがイスラム側の大攻勢を受けて、地中海に追い落とされるかもしれません。つまり、自滅的攻撃の端緒になる可能性がある、ということでうs。

ガザ地区を支配する武装政治集団ハマスは停戦期間終了後、ロケット砲によってイスラエル南部に散発的な攻撃を行ってきました。

そうそう、ガザ地区は、イスラエル南部の地中海沿岸の、幅10km弱、長さ60kmほどの狭い地域で、イスラエルによってこの地区にパレスチナ人(アラブ人の一グループ)が軍事的に封じ込められてきました。このガザ地区に住む130万人と、イスラエルの東に隣接する「ヨルダン川西岸地区」に居住する200万人と合わせて、330人の「自治区住民」と言われています。イスラエルは、西岸地区とガザ地区にパレスチナ人を押し込めて軍事的に制圧してきたのですが、軍事的優位性が崩れれば、もともとのこの土地の住民であるパレスチナ人に、逆に追い出されてしまう可能性があります。

これまでのイスラエルの軍事的優位性は、いうまでもなく米国が全面的な後ろ盾になっているが故でした。しかしブッシュ政権が「対テロ戦争」として戦ったアフガン戦争、イラク戦争ともに失敗し、米軍の軍事力はぼろぼろ、さらにブッシュ政権はあと3週間ほどの寿命ということですから、後ろ盾である米国からイスラエルへの圧力(支援)が切れ目になるこの年末に、イスラエルは賭に出たということになりそうです。

しかしこの賭は、禁断の打ち手であると見られてきました。イスラエルは一昨年の北部戦線での作戦であるレバノン戦争で、イスラエル南部を支配するイスラム勢力「ファタハ」に敗北しています。ファタハのうしろには隣国シリア、佐にその東隣のイランがいて、支援しており、KOの支援がイスラエルの軍事力をうわ鞠つつあるというのが、現在までの状況でした。

米国が弱体化し、後ろ盾がやばくなったイスラエルも弱体化した、このタイミングでガザ地区のハマスがロケット砲でイスラエルを攻撃していたのは、いうまでもなくイスラエルを挑発して、戦争に持ち込むきっかけにするためです。その挑発に乗るようにして、イスラエルはガザに攻撃を加えました。パレスチナ=イスラム側は滑降の口実を得たことになります。

ガザからはイスラエル南部に攻撃が開始されることになり、同時に東隣の「ヨルダン川西岸地区」のパレスチナ人も呼応して攻撃、さらに北隣のレバノンからは去年勝ちに持ち込んだファタハ=イラングループが呼応して攻撃、という全面戦争に発展しかねません。このタイミングで米国が政権交代の時期に当たり、またイラクにどっぷり足を取られて、有効な対策が取れないと、イスラエルは北、東、南、三方からの攻撃を受けて非常に厳しい戦いを強いられることになるでしょう。そのは以後には、今年の原油高でたっぷり儲けたイランの資金と軍事力があります。

イスラエルは米国から調達した先端兵器と練度の高い兵員という面では優位ですが、なにぶん、ユダヤ人は人口が少なく、兵員も乏しいのが現実で、長期・多方面にわたる戦争には堪えられません。実際、2007年のファタハとの戦争では、数週間で戦力が尽きかけ、やむなく停戦したという事情があります。

イスラエルでは、政権の中核にいる現実派は、このような現実を受け入れてパレスチナ側と高級和平を結んで、現在の国境線を画定して国の安全を図ろうとしてきたのですが、イスラエルの右派(超保守派)はこの方針を弱腰ととらえ、和平をぶちこわす行動をとってきました。一例としては、イスラエルとパレスチナの国境を越えて西岸地区の中にイスラエル人入植地をつくり、そこからの撤退を求める政権現実派からの指示を無視して、入植地を拡張し続けたりしています。

今回のイスラエルからガザへの攻撃は、軍内部の右派が、現実派の弱腰外交をつぶすべく、攻勢に出た可能性があり、こうなると政権の現実派も国内の統制が取れずに戦争に引きずられてしまう可能性が高くなります。

その結果、イスラエルが勝利できれば、これまで60年間繰り返されてきた構図なのですが、今回は軍事的に不利で、克後ろ盾の米国は弱体化し、政権交代の時期で意思決定が遅れると、パレスチナ=アラブ=イラン連合軍に圧倒されて敗れ、テルアビブやエルサレムを占領され、国家として崩壊してしまう可能性が出てきました。そうなると、今度は60年間抑圧されてきたパレスチナ人が一気にイスラエル領内になだれ込み、大規模な虐殺が起こったり、イスラエル人が難民となって地中海を渡って欧州や北アフリカに押し寄せるかもしれません。

もちろん、これはかなり悲観的なシナリオですが、多くの識者が指摘している「中東ドミノ倒し」のシナリオですから、あり得ないことではありません。

イスラエルは、イギリスと米国が中東に打ち込んだくさびで、イスラエルの軍事的優位性を背景にアラブ=イスラム側を圧迫し、はむかえないようして、中東に眠る石油の利権を確保して、その利権によって文明的経済的な繁栄を享受してきました。イスラエルが崩壊すれば、西側諸国はアラブを押さえる力を失い、石油資源にアクセスできなくなる、というより、そのコントロール権を失うことを意味しています。

日本は米国の覇権にぶら下がってここまで反映してきています。もしイスラエルが崩壊すれば、日本にも大きな悪影響があるでしょう。サブプライム問題で揺れている年末ですが、さらにそれ以上の大津波が押し寄せる可能性があります。

もしそうなったとして、日本は大変なことになることは間違いないですが、その結果が日本の衰退につながるのか、プラスに作用するかについては、両方の可能性があると思います。いたずらにびびる必要はありませんが、大きな変化になる火種が、今パレスチナで始まった、という段階です。世界の動きと、日本、そして僕らの生活は密接に関係しています。横の視野(地球的な広がり)と縦の視野(時間軸・歴史軸)を広げて、アンテナを広げておくことが重要です。

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