(by stky16) 映画「ヤング@ハート」

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(by stky16)

今回も映画の感想です。

ヤング@ハートというアメリカのコーラス隊を主人公にした映画です。このコーラス隊、ただのコーラス隊ではありません。平均年齢80歳という高齢者で構成されています。しかしながら、年齢からイメージされるような姿とはまったく異なり、びっくりするくらい元気です(^_^
このヤング@ハートのとある7週間を追ったドキュメンタリー映画です。

人生の過ごし方について、「今の自分にはない視点でみた様子」を知ることができる映画でした。

この作品では、高齢者こそ「今」を生きたがっていて、そのためにあらゆる意味で全力を尽くしている姿が描かれています。出演者たちは、僕程度の年齢の人間が想像するような達観にとどまらず、人生をまっとうしようとする意欲にあふれていました。

■ひたすら前を向く
ヤング@ハートのメンバーは、みんな明るく触れ合っています。特に印象に残ったのは、彼らが「失敗を楽しむ」様子でした。年齢を重ねると変な見栄で凝り固まってしまうような印象もあったのですが、この場には皆無。自分のパートをうまくこなせなかったら、指揮者のボブも大いにいじってきます。まわりのメンバーはそれを笑い、また本人も落ち込むことなく受け取るのです。
ときに、ボブは冗談ではない様子で指導することもあります。しかし、そんなときもメンバーは凹むことなく、巻き返すことを考えていました。

それまでの僕の印象では、年齢を重ねるとそういったポジティブな対処がしにくくなるような印象をもっていました。しかし、この映画に出演されている方々は、まったく逆のスタンス。こうした姿をみていて、あらためて考えてみました。

そうした姿勢を保てるのは、
 ・人生の行く末を意識しているので、時間がもったいない
 ・何度も経験してきたことで、対処法が身についている
 ・そういう姿勢を保つことについて、お互いに期待しこたえあう
という背景からきているのではないかと思いました。

酸いも甘いも積み重ねてきたからこそなせる姿なのでしょう。失敗する余裕がある自分のような世代でさえ、ちょっとした失敗にも凹んだりめげたりするもの。ヤング@ハートの方々の様子をみたことは、とてもよいエネルギー補填になったような気がします。

■命を懸けて、魂を込める
ヤング@ハートは平均年齢80歳。寿命という生命が逃れることのできない制約を意識せざるを得ないのだろうと思います。そしてそれ以上に、怪我や病気といった命を脅かす存在に向かい合わなければなりません。

映画を通じて目の当たりにするのは「本当に命を懸けている」ということです。比喩的な表現で表しているのではなく、現実にそういった姿に直面させられるのです。ヤング@ハートは20年以上も活動をしているグループなので、この歴史を振り返れば多くの哀しい場面があったことと想像されます。
この作品の中で描かれるごく一部の期間でさえ、垣間見ることも・・・。

そうした「ある種の怖さ」さえ感じるような状況下にあっても、映像から伝えられるヤング@ハートの活動からは、とてもとても大きなエネルギーを感じました。もしライブを現場で鑑賞していたら、そのエネルギーは何倍も強く感じられそうな気がします。
このエネルギーは、きっと「今を生きた『証』への強い意志」から生み出されているのだと思います。率直に言ってしまうと、(失礼を承知で書きますが)必ずしもハイレベルではないコーラスです。しかし、全身全霊を振り絞って歌声として観客に伝えている、僕はそう受け止めました。

※「必ずしもハイレベルではない」と書きましたが、それはあくまでも技術的な側面だけです。ヤング@ハートは技術ではない部分にこそ、自分たちの価値の源泉があることを熟知し、日々の鍛錬で磨いているのだと思います。そうした積み重ねがあるからこそ、ライブや映像を通じて人に伝えることができるのでしょう。

今は過剰なまでの情報流通によって、(ある程度上等なレベルまでは)技術を高めていきやすい環境が整ってきているように思います。しかし、その一方で、何か物足りないと感じるものもたくさんあるような気がします。その物足りなさの正体と、それを埋めるために必要なものは、ヤング@ハートの姿からうかがい知ることができるように思いました。

■すべてはつながりのために
ヤング@ハートの活動から伝わってくるのは、エネルギーだけにとどまりません。何よりも強く印象に残ったのは、人とのつながり・感謝を向け合う姿でした。

すべての活動から直接的に伝わってくるのは、「今そこにいる仲間・今は亡き仲間に捧げる感謝」でした。すべての仲間に対して「誰かを必要とする」「誰からか必要とされている」という姿です。友人というよりも、迫り来る行く末を伴に生き合う「同志」という感じで、垣根を越えた信頼で結びついているような印象を持ちました。
喜びも悲しみも分かち合い、かつ、それにおぼれることなく「大切な今を生きる」ことに力を尽くす。お互いにそうした振る舞いがなされることを望んでいる、少なくとも信頼しあっている。結びつきの強さがあるからこそ、揺るぎないパフォーマンスを発揮できるのだと思いました。

また、そうした信頼はメンバー間に限らず、支えてくれる人々への感謝もたくさんありました。特に、メンバーの家族に対しては、口では皮肉めいたことをいったりしたがらも(^_^、愛情あふれる応対が印象に残りました。
活動にあたっては、命がけで臨むケースもあります。それを可能としたのは、まちがいなく身近にいる大切な人々の支えだったはずです。

さらに、つながりは身内にとどまりません。ライブに訪れ「熱を受け取り、返してくれる観客」にも向けられていました。かつ、観客からヤング@ハートのメンバーに対しても向けられていました。
満員の会場にいるすべての人たちが一体感に包まれていく様子は、とてもハッピーな雰囲気に満ち溢れていました。

ヤング@ハートは、実態を知らずにいたら、高齢者の趣味活動と捉えてしまうこともあるでしょう。しかし、この人のつながりを生み出すチカラは間違いなくエンターテイメントであり、プロフェッショナルと呼んでも過言ではないと思います。

今の世の中を見渡すと、つながりを生み出す・強める仕組みや仕掛けは数多く見受けられます。しかし、このヤング@ハートから見られるつながりには、そうしたものを超えているように思いました。それは、対面し、素直に、全力を尽くす、そうしたことから生み出される信頼。

僕自身、自分の関わるつながりについて、少しでもそうした信頼を増やしていけるようになりたいと思いました。

■負けてられない
映画全般を通じて、ヤング@ハートのメンバーから元気をもらいました。しかし、いっぽうで「エネルギーをもらっていてよいのか?」という疑問も抱きました。本来は、自分は「エネルギーを与える」立場にいるべきなんじゃないだろうか、と。高齢者が元気な社会は素晴らしいと思いますが、それだけではちょっと・・・、なんてことを思いました(^_^;

もうひとつ思ったのは「やりたいことって、そのとき見つけられる」ということでした(僕自身、いまひとつ「自分のやりたいこと」をわかっていないところもあります)。ヤング@ハートのメンバーは高齢者になってから参加しています。でも、本当に本気になって取り組んでいるのです。
そうした姿を観ていたら、もっとシンプルに考えてもいいのだろうな、と感じたのです。考えないわけではなく、「重くしすぎない」ということ。

あと、「タイムリミットに頼らない」ということも考えました。何かに取り組むとき、火事場のなんとかとばかりに、締め切り際に持ち込んでしまうことはよくあると思います(僕自身、よくあります・・・(^_^;)。しかし、「その先が無い本当の意味でのタイムリミット」であったら、そういう進め方はしないのだろうと思ったのです。
タイムマネジメントというほどのことではありませんが、時間を消費することについて意識しなおす機会となりました。

いろいろと書きましたが、この映画の素晴らしさは「人生を楽しんでいるおじいさん・おばあさんたち」の姿です。いろいろと得られるものがある一方で、単純に笑えるシーンもたくさんあります。

鑑賞後には、きっと元気をもらって帰ることができる映画です(^_^

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