(by paco)「里山ビジネス」を読んだ

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(by paco) 玉村豊男さんの近著「里山ビジネス」を読みました。これはなかなか名著です、オススメ。

玉村豊男さんは、もともとライターとしてカードの会員誌のようなわりとスノッブな雑誌に寄稿していた方で、美食や世界紀行で知られてきました。そんな仕事をしつつ、軽井沢に移り住んで、いなか暮らし、というよりリゾートぐらいをしていたデュアルライフの先輩であり、実は僕と同じ都立西高出身の先輩でもあります。

その後、玉村さんは、絵画や陶芸などでも才能を発揮しているのですが、軽井沢から西隣の東御市(とうみし)に広い農地を購入して、本格的ないなか暮らしをしてきました。

その玉村さんが、いなか暮らし、農業と来て、さらにワイナリーをつくり、自家製ワインをつくった上に、レストランとショップを開き、事業を成功させているという話は、聞いていました。総務省のシンポジウムでご一緒したこともあって、ひょうひょうと、でも着実に前進しているようすに敬意を表していたわけです。

ちなみに、彼の東御市の農園の名前を「ヴィラ・デスト」とゆいます。

この「里山ビジネス」は、ヴィラ・デストをつくった経緯とその考え方をまとめた本で、いなか暮らしに対する考え方や里山という自給自足的な空間との向き合い方など、実に共感できる話が満載です。

ワイナリーとフランス料理の店でどうして「里山」なの? と僕も感じた疑問にも、きちんと答えを出していて、里山とは限定された田畑を中心にする自給的な空間であって、そこにある資源を持続可能な形で利用していく考え方そのものなのだ、という主張には、実に納得させられるものがあります。田んぼで米を作るのか、畑で大根を作るのか、それともちょっと高原だからブドウを作るのか。それはその土地の性格と、その土地のオーナーの考え方次第。でもいいブドウが作れるなら、それをと買いに売るより、その場所でワインをつくったほうが、里山的だろう、というわけです。

日本で個人でワイナリーをつくることの大変さは、実はワインづくりではなく、酒税法の規制のせいだとか、ワインづくりでなかなか利益が望めないので、レストランをつくったものの、そちらも利益を上げるのは容易ではないとか、ずっとひとりでもの書きの仕事をしてきたのに、60歳近くなって人を使ってビジネスのまねごとをする難しさや喜びもしるされていて、僕も自分のこととしていろいろ考えさせられました。

いなか暮らしに興味がある人はもちろん、コンパクトなビジネスに興味がある人、大量生産による効率的なビジネスモデル以外の形について、関心がある人、新しい時代の社会企業に関心がある人など、いろいろな人に役立ちそうな本です。新書なのでお安いのもよいところで、ぜひ読んでみてください。

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