(by JIN) 源氏物語の現代語訳:お勧め版

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(by JIN) 「源氏物語」のいくつかの現代語訳を各々1巻だけ読んでみました。その結果、現代語訳から原文に挑戦するには、次のプロセスが良いのではないかという結論に達しました。
?円地文子訳「円地文子の源氏物語」(集英社文庫)
 ・・・全3巻
 http://www.amazon.co.jp/dp/4087484319
?瀬戸内寂聴訳「源氏物語」(講談社文庫)
 ・・・全10巻
 http://www.amazon.co.jp/dp/4062756331
?山岸徳平校訂「源氏物語」(岩波文庫)
 ・・・全6巻
 http://www.amazon.co.jp/dp/4003001516

考え方としては、?全3巻の円地文子訳で、まずは源氏物語の全体像を把握します。次に?全10巻の瀬戸内寂聴訳で細かい描写も含め、現代文での物語の味わいを深めます。最後に?で原文に挑戦です。

以下、各々の現代語訳について、私が読んだ感想を記します(各々1巻のみ読んだ感想です)。

?円地文子訳(全3巻)

元々、円地文子さんは、全10巻の源氏物語を記されています。この全3巻版は、10巻のうち、宮廷のお祭りの様子などを省き、ストーリーだけを追う構成にすることで3巻に縮めたものです。3巻に縮められているにもかかわらず、物語の雰囲気も損なわないよう配慮されているため、最初に源氏物語の構造を把握するにはお勧めのシリーズです。

?瀬戸内寂聴訳(全10巻)

現代語訳の中では出色の出来だと感じます。

まず、なるべく紫式部が醸し出した物語の雰囲気を損なわないよう、配慮がなされています。現代語訳の中では、原文に近い部類に入ると思います。

次に、物語として読みやすい工夫がなされています。本文中に頭注や脚注がないので、細かい字句にとらわれずに読みとおせます。また、もっとも最近訳されたこともあり、我々が読みやすい表現になっています。

最後に、平安時代の雰囲気を知りたい人のためにも心配りがなされています。巻末に「源氏のしおり」「源氏の系図」「語句解釈」が記されているのです。「源氏のしおり」は、平安時代のしきたり等と共に、各貼の簡単な解釈が書かれています。すでに源氏物語の粗筋を知っている人は(ネタばれOKの人は)、「源氏のしおり」から読み進めると分かりやすいです。また、「語句解釈」は、平安時代特有の言葉遣いの辞典になっています。文中の言葉が気になる人は、これを辞書代わりに利用することができます。

?山岸徳平校訂(全6巻)

源氏物語原文です。他にも原文はありますが、文庫版で出ているため、このシリーズを紹介しました。最後は、ここに挑戦したいものです!

お薦めは以上ですが、上記3つの推薦からもれた他の現代語訳について、以下、感想を記します。

■与謝野晶子訳

著作権の期限が切れているため、ネットで無料で読むことができるようになっています。
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person885.html

ただ、戦前の作品であるため、表現が私には難しかったです。
また、作家としての与謝野晶子さん自身の歌等も入っており、紫式部のオリジナリティは若干損なわれている点が気になりました。

もちろん、与謝野晶子さん自身のファンの方、彼女の源氏物語の解釈を知りたい方には、無料で読めることもあり、お勧めです。

■谷崎潤一郎訳(全5巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/4122018250

源氏物語の平安時代の雰囲気を損なわないよう一言一句慎重に配慮された名作です。たとえば、主語の使い方なども、紫式部の表現をなるべくそのまま用いています。また、それでいながら、谷崎潤一郎さん独特の作家としての感性が感じられる点も優れています。「谷崎潤一郎訳」そのものが紫式部著から独立して、文学的価値を持っていると思います。

ただ、やはり、表現が難しく、いきなりトッツクと、源氏物語の筋がつかめません。また、谷崎潤一郎さんご自身の芸術観が織り込まれている点で、紫式部「源氏物語」のニュアンスを知りたい者にとっては物足りないです。

■円地文子訳(全10巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/B000J9ABDI

1970年代に書かれ、表現も分かりやすいです。また、頭注・脚注もなく、一気に読みとおせる配慮がなされています。

ただ、原文ではさらりと書いてあることを円地文子さんの解釈でふくらませて書かれている箇所がいくつかあります。また、瀬戸内寂聴訳と比較すると、瀬戸内寂聴訳にはある巻末の「源氏のしおり」や「語句解釈」がない分だけ、瀬戸内寂聴訳に軍配が上がります。

もっとも、同じ円地文子訳で、最初は3巻のまとめバージョンを読み、次にこの10巻にチャレンジする、というのも、1つの方法かとは思います。

■田辺聖子著「新源氏物語」(全3巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/4101175144/

全3巻で一気に読みとおせる点で、最初に源氏物語の筋を把握するには、良いかと思います。

しかし、原文とは、話の順序を入れ替えてあったりして、「田辺聖子訳」というよりは、独自の「新源氏物語」に近いです。紫式部「源氏物語」の息遣いを知りたい立場からは、お勧めできないです。

■大和和紀著「あさきゆめみし(コミック)」(全10巻)
http://www.amazon.co.jp/dp/4061089609/

30代・40代の女性で、「源氏物語との出会いはこのコミック!」という方が多いようです。源氏物語を広く世に知らしめた点では大きな貢献をしたと思います。また、コミックの絵が、当時の生活の様子をビジュアルで知らしめてくれて、物語がビジュアルで記憶に残るメリットもあります。

しかし、やはり、「文字数」に限界があり、紫式部の微妙な言葉のニュアンスはどうしても伝え切れません。また、ビジュアルばかりにとらわれてしまい、逆に文章では想像力をかき立てられる当時の香のかおりとか、微妙な部分が逆に損なわれるきらいがあります。

・・・以上、私なりの感想を記しました。今、瀬戸内寂聴訳の2巻を読み進めています。
源氏物語の世界を勉強し、また、感想など報告していきたいと思います。

(by JIN)

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