(by paco)Alfa156 V6 2.5 TI 6MT、ファーストインプレッション?サスペンション編

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(by paco)前回、156のエンジンについて書いたので、サスペンションについて書いておきます。

●堅めすぎず、ロールするのにすっと曲がるハンドリング

Alfaのサスペンションは、基本的にスポーティで良く曲がるセッティングになっているわけですが、中でもTIはTourismo Internationale、つまり国境を越えて長距離ドライブを楽しむためのクルマというコンセプトで、ノーマルより堅めでスポーティな足回りになっています。

147もそうなんですが、Alfaの足回りは、スポーティではあるものの、日本車のスポーティカーによく見られるような、ロールを拒否してタイヤのグリップに頼って回るようなセッティングとは異なり、けっこう深くロールして、外側を沈み込ませ、しっかりサスペンションに仕事をさせるタイプです。サスペンションのなんたるかをよく知らない若いジャーナリストや、ラテン系の足回りの味を知らないオーナーレポートを読むと、ロールしすぎでぐらっと来る、だとか、着座位置や愛ポイントが高くてスポーティじゃないとなどと書いてあるのですが、これはものを知らないというもので、Alfaはしっかりロールさせて、路面の状況を吸収しながら、タイヤのグリップだけに頼らず、きちんと回っていくという基本に忠実なセッティングなのです。

でも、これだけではフランス車の快適なサスペンションと差がなくなってしまうのですが、もちろんそんなことはありません。まずロックtoロック2.2回転というウルトラクイックなステアリングを組み合わせることで、ステアリングを切ると同時にロールしはじめ、間髪を入れずにノーズが向きを変えるという独特のハンドリングになります。これだけロールするのに、鋭く向きを変えていく味付けは、アルファ独特のものです。

ところが、ノーマル147もそうだったのですが、アルファはノーマルの味付けをやや柔らかえの方向に振ってあり、街中での乗り心地はいい感じなんですが、ハンドリングを楽しめる山道に部隊を移すと、もうちょっと安定感がほしくなる。ステアリングを切ってロールが始まり、安定しても、わずかな修正舵やアクセルコントロールで上体が大きく揺れて、それでコーナリングの奇跡が狂うほどではないにしても、乗員のからだがぐらぐらして神経を使うことになります。

ハンドリングをアルファらしく楽しむためには、スプリング、というよりダンピングをもうちょっと締め上げて、動きに節度を持たせればいい、ということで、147の時はスプリングとダンパーを交換してみました。そして、今回の156では、メーカー自身が提供する「ちょっとハードな味付け」のサスペンションがついているのが、TI仕様、というわけで、ねらいは同じです。

147の時につけたCervo Piede(ちぇるぼ・ぴえーで)は、見た目も重視ということで、30ミリほどローダウンして、「ノーマルと変らない乗り心地」という宣伝文句ではあっても、実際にはけっこう固くて、街乗りでは「固いなー」と思うことが多かったのも事実。では
156TIはどうか。ローダウン幅は15ミリ程度らしく、ほどよい下がり加減で、タイヤとホイールハウスの間隔(見た目)は、もうちょっと詰めていいかなと思うものの、ストロークの確保を考えると、これがベストと思えます。

●乗り心地は、スポーティだがおとなの味

乗ってみると、乗り心地はノーマルと147の時につけたCervoの中間よりややCervoより、というぐらいで、これまたちょうどいいかん時です。乗り換えたすぐは、けっこう柔らかめ?と感じたのですが、乗り慣れてくると、このぐらいでちょうどいいかな、という感じです。都内の住宅地の生活道路には、水道だのガスだのの工事で穴が空き、そこにアスファルトで補修したデコボコが意外に多くあるのですが、アルファの足回りが一番苦手なのがこういう場面で、ほんの1センチの盛り土がけっこうはっきり乗員に伝わってくるのですね、この突き上げ感が、147+Cervoの足回りよりはやや丸く角の取れた形で伝えてくるので、不快感は軽減されておとなの味付けになりました。147のノーマルと比べると……もうだいぶ前で忘れてしまったのですが、それなりに固い乗り心地なのだと思います。ただ、ノーマルは、全体にソフトな印象のわりに突き上げ感だけがかなり強く感じて、不意を突かれる印象だったと記憶してますが、TIははじめから全体に路面の状態を伝えてくるので、バランスはいいというか、納得感がある乗り心地です。

●ハンドリングは、ややFFトラッド

さて、舞台を山に移して、ハンドリングを見てみましょう。アルファが一番いきいきする場面です。

第一印象は、147と共通する軽快さの中に、それでも147よりずいぶんオトナっぽいナーという洗練された味付けになっていて、マシンの性能をフルに使って走るというより、2?3割の余裕を残して走るのがいちばん気持ちがいい感じかなと思わせました。

ただ、これにはちょっとエクスキューズが必要です。まず、147にはとっても慣れていて、自在に扱えるようになっていた点。どこまでの性能があるかわかっているから、ぎりぎりまで走れるところまで乗りこなしていたわけです。156はその点、まだまだ様子見で、これから限界を見極めていくタイミングですから、半年後には「余力を残して」などといっていないかもしれません。

もうひとつのエクスキューズは、タイヤが冬タイヤだということ。今回のスタッドレス「ピレリ アイスストーム・キューブ」は、また改めてレポートしますが、予想以上にいいタイヤで、冬タイヤといえどもハンドリングのマイナスは少なめなんですが、それでも夏タイヤのハンドリングにはかなうわけもなく、当然、車の性能を路面に伝えて切れていません。それが、2?3割の余裕を残すことにつながっています。

さて、その辺を差し引いた上で、156 TIのハンドリングですが、V6エンジンを積むフロントが重いこと、エンジンのトルクが147よりぐんと大きく、かつ6速ミッションでエンジンの特性を使い切れることから、基本的にエンジンパワーが足回りを超えている印象です。

公道を走るスポーティーカーの大切な要件は、エンジンより足回りが速いという点なので、その点では2.5L V6エンジンはオーバースペックなのかもしれません。それが理由で2?3割余裕を持っては知っているのか、それともクルマになれていないなどの理由なのかは、もうちょっと乗ってみて判断することになりそうです。

実際にコーナーを回ってみると、切り始めはすっとノーズが向きを変えていくのですが、Cervo Piedeをつけた147と比べると、明らかにアンダーステアが強く、「曲がってくれない感」が強い。147は、これはちょっと速すぎ?とコーナーにつっこんでも、思った以上に曲がってくれるし、いったん飛び込んでからもさらに舵が効いて、アクセルを踏み込みながらもどんどん曲がったのですが、156だと、これ以上曲がらないと前のタイヤが訴えてきます。が、そこはFF車ですから、ここでちょいとアクセルを戻してやると、すーっとノーズがinを向くタックインという現象が顕著に出てきます。147ではタックインはわずかで、もともとアンダーステアが軽微で、だからタックインもあまり起きず、単純にステアリングを切りましていけば曲がった、という点では、147の方がずっと洗練された現代的なハンドリングです。

156は、やはりフロントヘビーでフロントタイヤに負荷がかかっていること、そしてそれ以上にV6エンジンのパワーが足回りを勝っているので、タイヤのグリップが回転方向にとられてしまい、横方向の力を支えきれずにアンダーステアになるわけです。

そんなわけで、コーナー入り口でなるべくスムーズにステアリングを切って持ち前の回頭性のよさを活かしつつ、中盤以降ではアンダーステアと相談しながらアクセルを戻し、ノーズをinに向けながら、ころあいを見てアクセルをあけていくという、古典的なFF車の乗り方できれいに回ることができるのです。もちろん、タックインが急すぎるということはなく、リアが落ち着きをなくして一気にスピンに至るというようなマナーの悪さはありません。シートに押しつけた尻でリアの動きを注意しつつ、アクセルワークに神経を使えば、ほどよくノーズをコントロールすることができ、このあたりは、アルファのハンドリングテスターのねらいがよくわかる局面です。

どんな局面でもアクセル全開にできた147は、持てる力を使い切って走るおもしろさがある反面、安全。しかしアンダーパワーで、ドライバーの腕に限らず速く走れるというイメージも強かった。156は、アクセルをあけるタイミングにシビアで、クルマの癖を活かして回れるかどうかが、ドライビングのポイントになります。

それにもまして、やはり印象的なのがV6エンジンのパワーで、しかも6MTがかなりクロースレシオなので、気がつくとパワーバンドの一番下である4000回転前後にタコメータの貼りがあることが多いのは意外です。トルクが豊かでエンジン音もかなり社内に響いているので、これは5500ぐらいのいちばんおいしいところにいるのかな、このあと、トルクは落ち始めるかなと思っていると、まだ4500だったりして、「これからほんちゃんパワーなのか!」と驚かされる。結局そこから踏み込みきれずに、次のコーナーのブレーキング、ということも。このあたりは、パワーになれてくればもっと使い切れるようになると思いますが(147も、ゴルフから乗り換えてすぐは、まったくパワーを使い切れなかったし)、どんな扱いをすればいいのか、楽しみです。

こんな感じで、アンダーステアとうまく付き合いながら低速?中速コーナーを回ってみると、パワーが使い切れね?という思いは残りつつも、実際の平均速度は147よりは1割増ぐらいの感じで、やっぱり速いみたいです。

ちなみに、ハンドリングにいちばん影響を与える車重は、147の1330kgに対して1360kgと意外に軽量。ボディサイズは20センチほど長くなるものの、4435mmですから、最近の4ドアセダンとしてはコンパクトな方で、このへんもハンドリングを重視したスペックなのだと思います。

そうそう、ちょっとだけ、ブレーキについて。147のブレーキもそうなんですが、マシン性能に対して必要十分という性能なので、本当はもうちょっと余力がほしいと思うわけですが、それでもさっそくサーキットもOKというイギリスブランドのパッドに交換しているので、特に気温が低い冬のこの時期では、不足はありません。

ひとまず、冬タイヤでのファーストインプレッションということで、また乗り込んでからレポートしたいと思います。

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