(by paco)Alfa156 V6 2.5 TI 6MT、ファーストインプレッション?エクステリア編

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(by paco)Alfa156の外観のデザインを担当したのは、世界の自動車デザイン界の頂点に立つデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ。カーデザイナーとしてはこれ以上有名な人はいないというマエストロですから、名前ぐらい聞いたことがあるかもしれません。

ジウジアーロは1938年生まれの70歳。最初の仕事が1960年代のアルファロメオの名車「ジュリア・スプリント」(通称"段付き")で、彼はこの車のデザインを当時まだイタリアに残っていた兵役中に、弊社の中の一室で完成させて、アルファロメオに提示し、採用されたという逸話が残っています。

その後、1960年代から現在に至るまで、世界のトップデザイナーとして君臨する存在ですが、インタビューなどを読む限り、本人は至って穏和な方で、へんに飾ることもなく、でもデザイナーとしてのおしゃれ感は見るからにあり、物静かだけれど明るい印象のおじさまです。僕のあこがれのおとなのひとり、といえるかもしれません。

もう少しなじみのあるところの作品としては、アウディ80、フィアットパンダ(初代)、フォルクスワーゲン・ゴルフ(初代)などの欧州の小型車、日本車にも多くの作品を提供しています。いすゞ117クーペ、いすゞピアッツァ、僕が以前乗っていた70型(TE71もそのひとつ)カローラ、三菱ランサー(初代)、デロリアンDMC-12(バック・トゥー・ザ・フューチャー)などなど、数知れず。

そして最近の作品として、このAlfa156、そして、現行モデルのAlfa Brera、159。

さらにクルマ以外にも、NIKON D3などのデジタル一眼レフカメラやブリジストン自転車「ブルゾン」、パスタ(マカローニ)までデザインしてしまうという、本当の転載であり、デザイン職人の頂点に立つ人物です。

と、前振りが長くなりましたが。ジュジャーロのデザインは、振り返ってみれば僕はかなり好きで、上にも書いたトヨタTE71カローラGTが僕が手に入れた最初のクルマだし、その後、のったシトロエンBXも彼の作品といわれています。そして今回の156。

実はこの156は、発売当初、アルファロメオのチーフデザイナーだったワルター・デ・シルヴァの作品とされていました。デ・シルヴァも若手のキレモノで、その後、Alfaを去って、アウディに移り、現在のアウディの「顔」になっている、「シングルフレーム」顔をデザインして定着させ、注目されています。ジュジャーロのほうは、もともと156のオリジナルデザインをつくったものの、アルファロメオの親会社、フィアットの社長から、「おまえがつくったとは公表しないし、するな」と言われてしまい、結局、当時のチーフデザイナーであるデ・シルヴァの作品として世に出ました。実際にはデ・シルヴァはフロントフェイスとリアビューをデザインしたのみだったと、のちにジュジャーロはインタビューで答えています。

デザイナーという仕事は基本的にはアーティストではなく、職人ですから、ネームが入らないことが普通です。巨匠ジュジャーロでもその点は同じで、依頼主が「名前は出さない」といえば、それまで。

しかし、そののちに経営者が変り、そのあとに、156はマイナーチェンジを受けて、フロントフェイスとリアビューが変更されます。これを機に、156のボディには「design GIUGIARO」のロゴが付き、もともと156はジュジャーロのデザインだったと公表する権利も受けて、名実ともに156は彼の作品となりました。

実は、その直前の2002年、ジュネーブモーターショーに、ジュジャーロ自身の作品として、「Brera」が出品されます。Breraにはアルファロメオのエンブレムと縦の意匠が施され、アルファとはまったく無関係に、ジュジャーロ自身が「勝手にアルファのためにデザインしちゃった、僕のお楽しみデザインスタディ」として登場したのです。Breraの登場は、ジャーナリストやクルマフリークに圧倒的に支持されました。その流麗なボディ、どこから見てもかっこいいフロントフェイス、ショーカーらしく演出・デザインされたインテリア、全面ガラス貼りのルーフ。そしてジュジャーロのショーモデルは、単なるデザインではなく、実際に走らせることができるのも特徴で、Breraはその後、多くのジャーナリストを実際に乗せて公道を走り、レポートされました。Breraのデザインについて、ジュジャーロはインタビューに答えて「僕にとってAlfaをデザインするというのは、やっぱりいちばんうれしいことなんだ、今回は、Alfaからの依頼じゃなく、僕自身が本当につくりたいAlfaをだれにも制約されずにデザインしてショーに出したもの。そしてそれがこんなに評価されて、結局Alfaromeoから市販車として登場することになるのだから、これはうれしいことだよね」と話しています。巨匠といえども、本当に自由に自分の作品がつくれることは、本当にまれなこと。そしてそれが、マーケットの支持を受けて市販化が決定されました。

この決定のあとに156のマイナーチェンジが実施され、156はBreraのフロントフェイスをまねて、通称「ブレラ顔」に変更されて、後期型に進化しました。僕が手に入れた156は、この後期型の、ブレラ顔156になります。

ちなみに、156の前に乗っていた147は正真正銘のデ・シルヴァの作品で、今回のお話は、この147に見るシルヴァデザインと、156のジュジャーロデザインの違いについて、注目します。

さて、本題。

クルマのデザインを理解するには、洗車を繰り返すのがいちばんいいと僕は思っていて、車を洗うのはデザインを知る楽しい時間でもあります。

156もすでに何度も洗ってみたのですが、前車147と比べて、すべてのライン、面が、本当にクリーンで、まったく破綻が無く、伸びやかな点です。

これに対して147は、もっとずっとアクロバティックなラインを持っています。特にリアドラのうしろ、Cピラーのあたりの面の取り回しは絶妙で、上部はリアに向かってぐっと絞り込んでいく流れと、ウェストラインよりしたのどっしりした安定感のお尻とのアンバランス(上は細くなり、下は量感がある)をCピラーの形状で破綻無くつないでいくあたりの造形は、圧巻です。どうしてこんなに不思議な曲面なんだろうと思いつつも、美しい。リアドアは、このサイズのクルマにしてはいように長く、大きなドアなのですが、その大きさといい、リアのドアハンドルがはまるリアドアのサッシ不思議なカーブ。どうしてこんな造形を思いつくんだろう、なんでこんな複雑なカタチにするんだろうと思わせつつも、全体としてはシンプルでかっこよく収まっているところが不思議です。こういった造形は、147の場合、フロントからリアまですべてのパーツで感じるところです。

156は、逆にすべての面や線に必然性が感じられ、破綻がない。ちょうどギリシャやローマ時代の彫刻のように、完璧なカーブを、フロントからテールエンドまで、一貫して流れているのがジュジャーロデザイン。147も156も、徹底的に造形にこだわりつつも、本当に対照的なカタチをしている、それなのに、どちらもアルファロメオのアイデンティティはまったく失っていない。本当に不思議なことです。

こういうデザイナーの視点を離れて、1台の車としてみると、156はボディサイズが全長4.4メートルほどの、今やコンパクトな部類の4ドアセダン。セグメント的にはDセグメント(小型ファミリーセダン)で、日本車でいうと、トヨタプレミオ・日産ブルーバード・マツダアテンザということになります。しかしこのあたりのクルマは全長4.6メートルに拡大されていて、156より20センチ以上大きなサイズです。多くのクルマが大型化していく中で、156はもっともコンパクトなファミリーセダンサイズのクルマということができます。もちろんライバルであるBMW 3シリーズより、かなり小さめです。

その、コンパクトなサイズの中に、破綻がないデザインと、アルファらしいかっこよさ、スポーティネスが表現されている。ほかのどのクルマにも似ていない強烈な個性が感じられます。

好きか?と聞かれれば、もちろん文句なしに好きですね。そして、この156については、特別色のヌヴォラブルーに塗られていて、この色がまたいい(好みは分かれますが)。ソラの色を受けると水色、夕日を受けると黄色や薄緑っぽくなり、薄明かりだとシルバー。そのときどきでいろいろな表情を見せてくれる色でもあります。新車で買うときは、この特別色だけで26万円のオプションだったのですから、侮れません。

ということで、156のエクステリアデザインについてうんちくを語ってみました。
次回はインテリアについて、書いてみます。

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