(by まつおっち)天国へのお引越し

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(by まつおっち)

ある老人の遺品を整理していた吉田太一氏に、
そのおじいさんのお孫さんが尋ねてきました。

「おじさんたち何してるの?」

まだ小学1?2年生くらいの小さい子供に

「遺品整理」

という言葉は難しいだろうと

「亡くなったおじいさんの荷物を整理してるんだよ」

と応えると、その子はこう言ったそうです。

「じゃあ、おじさんたちは、
 天国へのお引越しをお手伝いしてるんだね!」


吉田太一氏は、全国初の「遺品整理」の専門会社、

「キーパーズ」
http://www.keepers.jp/

2002年に立ち上げた方です。

「遺品整理」は文字通り、
亡くなった方の自宅や部屋の物を整理し、清掃し、
形見の品を遺族に渡して、残ったものを処分する仕事です。

マスメディアでもたまに取り上げられていますので、
ご存知の方もいらっしゃるでしょう。


亡くなった方の多くは「孤独死」です。

孤独死した人の親戚縁者は
おおむね故人とは疎遠だったために、
自分では遺品整理をやりたがりません。

そこで、キーパーズのような会社に
お金を払って依頼するというわけです。


独居老人などが「孤独死」した場合、
身内がどこにもいないこともあります。

このような場合には、
部屋を貸していた大家さんが仕方なく、
遺品整理を依頼することが多いようです。


また、「自殺」や「他殺」によって亡くなった方の
遺品整理の仕事もあります。

この場合もやはり、
遺族が自分で遺品整理するのは難しいため、
遺品整理会社に依頼が来るようです。

現場では、
もちろん遺体は既に運び出されていますが、
血が飛び散っていたりする凄惨な状況の中で
遺品整理や清掃の作業をすることになります。
(だから、心情的にも遺族がやるのは難しいわけです)


遺品整理の仕事は、
想像するだけでも大変な仕事だなと思いますが、

「自分たちがやらなかったら誰がやるんだ」

という強い使命感で、
吉田さんたちは仕事を引き受けています。


現在では、こうした遺品整理の会社は全国に
30社くらいあるそうです。

高齢化が進み、独居老人が増加していいる現代、
遺品整理業の方がますます忙しくなることは確実ですね。

もちろん、自殺や他殺による仕事が増えることは、
遺品整理業の方も望んでいないでしょう。


最近は、独居老人の方で、

「生前予約」

をされる方が増えているそうです。

今は元気だけれど、いつ突然死んでしまうかわからない。

その時、身内や周囲の人に迷惑をかけたくないと、
あらかじめ遺品整理の見積もりを取り、代金を払って
その時に備えておきたいということなのだそうです。

生前に「墓」を購入しておくだけでなく、

「遺品整理」

までも、死ぬ前に、
赤の他人に依頼してきたいと考える人が増えている。


これは、人間関係がますます薄くなっている現代を
反映していると言えそうですよね。


ところで、吉田太一氏の著作、

『遺品整理屋は見た!』(扶桑社)

には、孤独死したある女性の部屋には、

28匹の猫

が残されていたという話が出てきます。

可哀想なことですが、飼い主を突然失い、
引き取り手もいない猫たちは保健所が連れて行きました。


最近、自分が死んだ後のペットの面倒を
見てくれるサービスも開始されたようですね。
(キーパーズではありません)

独居老人には犬や猫を子供のように
かわいがっている方もいらっしゃるわけです。

自分亡き後のペットの行く末が心配の種と
なっていた方に応えるサービスもついに登場したのです。


高齢化社会では、これまで思いもしなかったニーズが
生まれているのだと痛感させられます。


なお、同書に書かれていますが、
独居老人の孤独死は、55-65歳が多いとのこと。

高齢だと周囲も気を遣いますが、
60歳前後ならまだまだ若いので周囲もあまり心配しない。

このため、亡くなったことに気づくのが遅れてしまうようです。

一人暮らしの55歳以上の親戚や知人がいたら、
ぜひこまめに連絡を取ってあげてください。


年の瀬にあまり楽しくない話を書きました。

正月にドクロを杖につけて「ご用心、ご用心」と歩き回った一休さん
ではありませんが、私たちは常に死と隣り合わせで生きていること、
そして、「生きていること」の幸せをかみしめてもらえればと思います。

『遺品整理屋は見た!』
(吉田太一著、扶桑社)

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