(by まつおっち)
先日、ある人材紹介会社が主催するキャリアセミナーで、
パネルディスカッションのコーディネーターを務めさせていただきました。
このパネルディスカッションのパネリストのお一人、『日経ビジネスアソシエ』編集長
の渋谷和宏氏のコメントの中で、深く記憶に残った言葉がひとつあります。それは、
「傷ついたもの勝ち!」
という一言です。
あなたも、仕事の上で何か痛い経験を一度や二度はしたことがあると思います。
もちろん、実際、体のどこかに怪我をするという意味ではなくて、
大失敗して落ち込んだり、苦しんだりして、精神的に傷つくことです。
そうした痛い経験の最中って、本当につらいですよね。
でも、後で振り返って見た時、こうした「つらい経験」が、
自分を成長させてくれたのだということに気付くことが多いのではないでしょうか。
よく言われることですが、「成功よりも、失敗からのほうが学べることは多い」と
いうのは真実だと思います。
だから「傷ついたもの勝ち!」なんです。
さて、渋谷編集長が最も傷ついたのは、
『日経ビジネス』等の雑誌記者を経て書籍の出版に携わった時期です。
「売れる」と信じて出版した本の売れ行きがはかばかしくない時、
担当した編集者は文字通り針のむしろの上にいるような気分を味わうそうです。
社内ですれ違う上司や同僚の視線が痛い。「君の本、売れてないね」みたいに、
からかう人もいました。このため、渋谷さんは胃がキリキリ痛むような思いを
されたんじゃないかと思います。
おかげで、本を売るのがいかに大変なのかを渋谷さんは身を持って経験しました。
渋谷さんはそれまで安定した読者がいる定期購読の専門誌担当でしたから。
このつらさを実感としてはわかっていなかったことでした。