(by take) 卵巣ノウ種とてんかん発作(3)

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(by take) 実家で過ごすようになった麻衣は、毎日機嫌良く過ごしていたのですが、少し風邪気味であまり食事を取らなくなっていました。そこで夜は自宅に帰っていたロナリンも実家に寝泊まりする様になり、僕も仕事が終われば実家に行き、早朝自宅に戻りシャワーを浴びてから会社に行くパターンになったのです。

朝7時になり、いつもの様に実家からそろそろ自宅に戻ろうと思ったその時に、麻衣を抱っこしていたお義母さんが突然叫んだのです。びっくりして振り向くと、白目をむいて「よだれ」を垂らしながら全身硬直している麻衣に姿が目に入りました。とっさに「てんかんの発作が再発した」と感じました。ロナリンやお義母さんはあわてて、麻衣に呼びかけていますが、反応はありません。

「発作自体は危険ではなく、意識を失って頭をぶつけたりして怪我をすることが危ない」と知っていたので、自分自身に落ち着くように言い聞かせましたが、やっぱりそんな表情の麻衣を見るのは苦痛です。前回の発作の時ロナリンが取り乱したのが実感できました。

幸いに発作は2分ほどで治まり、何事も無かったように「すやすや」眠りだしたのです。これも5分以内におさまるような発作であれば問題ないという知識はあったものの、あわてて病院に連れて行くロナリンとお義母さんを止めるほどの気持ちにはなれませんでした。どちらかと言えば僕自身も「検査をして、もっと正確な病気の状態を知りたい。」という感覚で、発作が治まった麻衣を連れて、救急病院に向かったのです。

ERに運び込まれた麻衣はまだすやすや寝ていましたが、体重や体温など色々チェックされている内に目を覚ましました。全く普通に朝目覚めるように…熱も無く、意識もはっきりしているし、感覚も正常そうです。でもお医者さんの指示で、血液検査と検尿、検便をしました。どの結果も異常なしで、入院の必要もなしとの診断でした。てんかんは脳波の異常からくる発作なのに、脳波のチェックは全く言われなかった事が気がかりでしたが、ひとまず大丈夫そうだったので遅れて会社に出勤しました。

でもその日の夕方と翌朝に再度発作を起こしたのでした。2日で3回の発作はさすがに僕もとても心配になり、今回も会社の社長に専門医を紹介してもらい、診てもらうことになりました。

早速翌日に専門医のいる病院に行きました。待合室には数組の患者が同じ様に順番を待っていたのですが、その中の2人は麻衣とあまり年は変わらないのに、見るからに重い病状でした。視点が定まっていない様ですし、手足も少し硬直しているようでした。年が近い子供がこういった病気に苦しんでいるのは、本当に心が痛く感じます。麻衣はその子供達に比べれば、本当に小さな問題に思えました。そして少しでも病状が早く回復するようにと願わずにはいられませんでした。

さて、麻衣の診察ですが、前回の6月の発作の時に測定した脳波の検査表、昨日の血液検査、検尿の結果を持参して、問診中心で進めていきました。そして脳波の一部の乱れを押さえるために、投薬による治療を開始することになりました。幸い病状は深刻ではなく、他には問題は無いとの言葉に安心しました。

処方箋を書いてもらい、病院内にある薬局に行くとその薬は品切れでした。値段は1瓶2,000ペソ(約5,200円)との事。しかし入荷日は未定と「え、ここは病院の薬局でしょう?なんで入荷日が未定なの??」とあきれかえってしまいました。患者はどうすればいいのでしょうか?

怒ってもどうしょうもないので、町中の薬局にロナリンがタクシーで買いにいったところ、電話がかかってきて「病院の薬局は2,000ペソだったけど、この薬局は800ペソで売っている?どちらを買えばいいの?」とのこと。薬のメーカー名、内容量、有効期限をチェックしましたが、全て同じでした。その薬局のスタッフに言わせると、「病院内にある薬局は、全て高い値段で売っている。」とのこと。緊急の場合など、医者に言われて一番足を運びやすい病院内の薬局が、一番高く売りつけているなんて本当にどういうことでしょうか?全ての薬がそうとは限りませんが、一部の薬の値段の開きが2.5倍もあるなんて信じられませんでした。今回薬を買った薬局は大手ショッピングモール内にあるフランチャイズの薬局なので、信用度が低いとは思われません。

フィリピンの医療費は比較的高いと感じます。就業者の一部は社会保険などの適応がありますが、貧困層は無職ですから保険の対象外です。そう言った背景から、病院は最初にデポジット(前金)を入院患者に払わせます。払えない患者は検診を受けることすら出来ません。貸し倒れにならないように治療に使う薬(点滴等も含めて)を患者に先に購入してもらい、それを使って治療する場合も多く、その場合薬の購入先として、当然その病院内の薬局に足を運ぶ人は多いはずです。

「華氏911」で有名になった、マイケルムーア監督の新作映画で「シッコ」と言うアメリカの医療保険制度の問題を提起した映画があると聞きました。医療と言う分野でさえも「勝ち組」がプロフィットを見いだす市場になり、「負け組」は教会で祈りを捧げ、心優しいボランティアが手をさしのべてくれるのを待つ、そんな社会は「持続社会」と呼べるでしょうか?国を超えて考えるべき問題であるような気がしてなりませんでした。又、海外に住んでいる人が背負うリスクとしての、滞在国の保険を利用する難しさとも改めて感じたのです。(つづく)

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