(by take) 卵巣ノウ種とてんかん発作(1)

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(by take) もし神様がいるのなら、きっと僕たちはまだまだ未熟な夫婦なので、色々な課題が必要と考えているのでしょうか?本当に色々な事が起きます。でも今回は一番心配であり、経済的にも精神的にも一番「試されている」感じがしました。

今回は殆ど同時期に「第二子妊娠の判明」「ロナリンの卵巣ノウ種の発見と手術」「麻衣のてんかん発作再発と投薬の開始」を体験しました。その中で改めて夫婦と家族の関わり方とフィリピンの医療の課題を感じずにはいられませんでした。

今年の6月ぐらいからロナリンが「腰の上あたりが痛いからマッサージしてー」と頻繁に言うようになっていました。

麻衣が活発に遊び出す時期なので、疲れが溜まっているのかと思い、週に1,2回寝る前にフィリピン流「ヒロットマッサージ(ココナッツオイルを使った指圧マッサージ)」を見よう見まねでしてあげることが多くなりました。それでも夜中に突然起きて痛みを和らげるためにストレッチなどを始めることもあり、おかしいなと感じていました。今から思えばこの頃に病院へ検査に行けば良かったと思いました。

そんなある日、ロナリンから「最近吐き気がする。(ちょっと間をおいて)市販の妊娠検査薬を買ってきて。」と言われました。色々思い当たる節があり、わくわくを押さえながら自宅で検査をすると「ポジティブ」の結果が、、、
麻衣の時は動揺したけれど、今回は純粋に嬉しかった。「そろそろ欲しいな」という暗黙の意志疎通があったので、二人して大喜びでした。早速翌日に麻衣の妊娠からお世話になっている「ファミリードクター」の検診を受けることにしました。

僕は仕事だったので、お昼休みに検査結果について電話をすると、歯切れの悪い受け答えが返ってきました。
「お腹の赤ちゃんは大丈夫?」
「うん、大丈夫、、、でも、、、」
「何か問題?いい話?悪い話??」
「ちょっと悪い話だけど、、、電話じゃ難しい、、、」
本人も良く分かっていない感じです。

その夜、診察結果の用紙と辞書を片手に話し合いました。医療の話は知らない単語が多く出てくるので、話を聞いてもなかなかストレートにイメージが出来ず、いつも苦労するのです。診断書を片手に辞書を引くと「卵巣ノウ種」「腫瘍」そして所見には「摘出手術を勧める。」とあるではありませんか!昨日の浮かれた気持ちから真っ逆さまで、暗雲が立ちこめてきました。でも「卵巣ノウ種」がどんな病気で、どの程度子供に危険があって、ロナリンの体は大丈夫なのか?全く分からず、インターネットで基礎知識を得るまで、話は持ち越しとなりました。

ロナリンが患った「卵巣ノウ種」とは、卵巣に水の入った袋の様なものが出来る病気で、ロナリンの場合は「皮様ノウ腫」という良性の腫瘍でした。腫瘍の内部には、油、毛髪、骨、歯などです。不思議ですね。妊娠もしていないのに、そんなものを卵巣の中で作ってしまうのです。腫瘍が小さければ無症状ですが、大きくなると下腹部痛や不快感などが生じます。そして普通は次第に大きくなるので経過観察をしたとしても、最終的に手術が必要になることが多いそうです。若い女性が発病することも多く、左右の卵巣に出来たり、再発したりすることがよくあるそうです。余談ですが手塚治虫のマンガ「ブラックジャック」に出てくる「ピノ子」はこの「卵巣ノウ種」を手術して、ちゃんとした人に直したそうです。(実際には卵巣ノウ種は子供ではないので出来ません。)

検査の時点では、彼女はまだ妊娠7週目だったので、安定期に入る16週前後に手術の方向で話が進んでいきました。そして医者から言われた手術までの注意事項は僕たちの生活を一変する内容でした。

第一に、病気には関係なく「妊娠」したので、麻衣への母乳の授乳は止めること。これは毎晩ロナリンのお乳を触りながら安心して眠る麻衣に可愛そうな感じがしました。

第二に腫瘍が出来て重たくなった卵巣が捻転を起こすと、子供が安定期でなくても緊急手術となるそうです。これは子供にとってもロナリンにとっても非常に高いリスクなので、なんとしても避けなければいけません。だから捻転を起こす「きっかけ」になる、激しい運動、重たい物を持つことが厳禁となりました。麻衣を「抱っこ」することもだめ。甘えん坊の麻衣はお母さんのロナリンを見るとすぐ甘えて抱っこをせがみます。だから手術までの約9週間はロナリンの実家に麻衣を預けることになりました。麻衣に会いたいときは、僕らが実家に通うことになったのです。

その夜から麻衣がいない家を体験することになりました。本当に静かで寂しい夜でした。
(つづく)

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