(by まつおっち)マルチな自分

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さて、今週は、「厳しい現実」に負けないためのヒントの第2弾、

「マルチな自分」

になるということについて書きます。


「世間の荒波にもまれる」

という言い方がありますよね。

実際、世の中って厳しいです。自分の思い通りにならないことが多いし、
どう考えても納得できない不条理な目にもしょっちゅう合います。

「世の中そんなものだ、ある程度受け入れるしかない」と、
いい意味での「あきらめ」(私は、「健全な諦念感」と呼んでいます)が
できればいいですが、どうにも我慢ができず、ひどく落ち込んでしまうことがあります。

こんな時に、前回話した「心の支え」が大きな力になってくれますが、
もっとぼろぼろになってしまって「心の支え」さえもあまり効かない時には
どうしたらいいのでしょうか?


ひとつはとことん休むことですね。傷ついた心身をそっとしておいてあげる。
その意味で、ゴールデンウィークのように連休を取れる機会は大変ありがたいですね。
ただ、ゴールデンウィークであろうがなかろうが、大きな精神的・肉体的なショックを受け、
仕事や日常生活に支障が出ているようであれば、思い切って長い休みを取りじっくりと
癒すことが必要な場合があると思います。


骨折のような身体的なけがや、自分でもはっきりと痛みを感じるような内臓の病気の場合は、
入院といった形で長期に仕事を離れることが比較的容易にできますが、
慢性的な疲労感や、意欲の低下といった症状はある程度我慢したり、やり過ごしたりできるので、
ついつい無理をしてしまいがちです。

ただ、どんなに柔軟性のあるゴムも伸びきってしまったら、いつかプチンと切れる時がきます。
いったん切れてしまうと、元通りにつなぐことがなかなかできなくなるので、
切れる前に緩めてあげなければなりません。

特に、完ぺき主義の頑張り屋さんは無理をしがちなので、自分で、

「今、自分のゴムが伸びきっていないかな」

と意識してほしいですし、また、周囲が気遣ってあげてほしいと思います。


さてこの「休む」というのは、厳しい現実に直面して落ち込んでしまった場合の、
いわば「治療的」な対応ですが、もうひとつ私が推奨したいのは、「予防的」な対応です。
それが、冒頭に書いた

「マルチな自分」

になるということです。

私たちは、本来、他人や社会との関係でさまざまな役割を持っているわけです。
もちろん、社会人の皆さんの場合、「働く人」というのがその中でも最も大きな役割ですが、
それ以外に、自分の家族との関係では「夫」、「妻」、子供がいれば「親」、
あるいは自分の親との関係では「子供」という役割を持っています。

また、プライベートの時間に、草サッカー、草野球での選手、あるいは監督という立場で
関わっている方、その他さまざま趣味の集まりでなんらかの役割を果たしている人もいます。


そして、私が言う「マルチな自分」というのは、これらの役割の中でいくつか

「自分の居場所」

を確保しておくということです。

ここで、自分の居場所というのは、

「今の、ありのままの自分」

を受け入れてくれる場所という意味です。

家族や親との関係の中で、「自分の居場所」を確保できればいいですが、
その身内での問題が起きてしまうとだめですよね。ですから、
できれば利害関係のない趣味の集まりや、ボランティアなどのような社会貢献活動に
普段から時間を見つけて関わっておく。

もちろん、「自分の居場所」を確保するためには、相応の時間を投入する必要が
あることは言うまでもありません。

こうした、仕事以外の居場所は、厳しい現実に翻弄されている時のいい

「雨宿り場所」

になります。
そして、たとえば「失業」といった最悪の事態を迎えたとしても、
仕事以外の役割を果たしている自分が自覚できれば、必要以上に落ち込むことがありません。
ぼろぼろの自分をやさしく受け入れてくれる場所があると考えることができるからです。

これは、身内で発生するさまざまな問題の場合も同じ効果を発揮します。


つまり、「自分の居場所」としての役割を複数持っていれば、
どれかひとつやふたつが傷つきまた最悪壊れてしまっても、
別の役割がまだ残っていますから、あなたの自我は守られる。

一方、厳しい現実に負けてしまい、再起困難に近い状態にまで行く人に見られる共通点は、
多くの場合、仕事にしか自分の居場所を見つけていないことだと思います。

仕事にかまけて、他の役割を一切ないがしろにしてしまう。
仕事がうまくいっている時はいいのですが、いったん仕事がうまくいかなくなると、
それまで、ほぼ「仕事=自我」で来てたわけですから、自我が完全に破壊してしまう危機を
招きかねないのです。

ですから、普段から仕事以外の活動(最優先は家族としたいところ)に関わり、マ
ルチな役割を持つ自分になっておくことを皆さんにお勧めします。


なお、この「マルチな自分」になる、すなわち他人とのかかわりにおいて
複数の役割を持ち、複数の居場所を確保しておくことの重要性は、
ある社会心理学の実験でも実証されていることです。

たとえば仕事の役割だけしか果たしていない人と、
それ以外のさまざまな活動になんらかの役割で並行して取り組んでいる人を比較した時、
複数の役割を持つ人の方が社会的なストレスや問題に対して精神的に強いらしいのです。


「いやあ、そう言われても、現実問題として、
 仕事がめちゃくちゃ忙しくて他の役割を果たしている暇がないよ」

と感じる方もいらっしゃるでしょうね。
しかし、そう感じる時点ですでにやばいです。「仕事=自我」の状態になりかけています。

あなたの人生の主役は、あなた自身です。

仕事を含めた人生全体の生き方についてしっかりと手綱を引いてほしいと思います。

たとえば、仕事に振り回されるのではなく、仕事を振り回すにはどうしたらいいかという
発想の転換をしてみてはいかがでしょう?

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