(by paco) 「新しい歴史教科書をつくる会」、扶桑社からキャンセルを食らう

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(by paco) 「新しい歴史教科書をつくる会」は、超右寄りの歴史観をもった教科書をつくり、子どもたちに教えさせようというグループで、別記事で書いたような、軍のやり方の不名誉なところは記述せず、価値のあるところを強調して、戦前の日本の行動を正当化しようという内容で書かれた教科書をつくっています。

その版元である扶桑社が、新しい教科書の出版を断ったということで、僕としては、これはなかなか、痛快な記事です。

扶桑社が断った理由は単純で、ビジネスとして成り立たないというわけです。予想した数の教科書採用がなく、教科書が売れないのでは、コスト割れしてまで出版できないということですね。

教科書の選定は、地域ごとの教育委員会が選んでいますが、各地の教育委員は、検定は通ったものの、この強化社はふさわしくないという判断を下したわけで、一部での採用はあったものの、全体としては、歴史に対する反省の念はまだ比較的強いという点で、安心できます。

「つくる会」は、別の強気の発言ですが、他の版元が見つかるかどうか、おそらく厳しいのではないかと思います。これを期に、右に偏向した教科書が市場から消えてくれるといいと思っています。

ちなみに別記事の「沖縄戦の記述が修正された」という内容は、版元ではなく文科相が検定で修正させたということで、これは政府の意図です。「つくる会」の教科書は、あくまで会の主張によってつくられたもので、それが検定に通るという意味で、政府の意図が感じられます。しかし検定に通っても、教育委員会で採用されないと、教科書としては使われないわけで、結果的に右寄りに過ぎる意図は、社会からウケいられなかったということですね。

しかし、受け入れられなかった背後には、朝日新聞始め、リベラル系のメディアによる追跡報道があったことも、理由に挙げられます。教科書の採択があると、「こんな教科書を採択した地域がある」と報道されると、教育委員も地域からの反対が怖くなり、採用しにくくなります。メディアの果たした役割も大きいのではないでしょうか。

▼asahi.comより
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「つくる会」、扶桑社と関係断絶 別の出版社を公募
2007年05月31日18時25分

 「新しい歴史教科書をつくる会」は、同会執筆の検定教科書を発行してきた扶桑社(東京)との関係を絶ち、次回の教科書を発行する別の出版社を公募すると31日発表した。30日に開いた理事会でこの方針を決定。これに伴って会長の小林正・元参院議員を解任し、新会長に藤岡信勝・拓殖大教授(教育学)を選んだという。

 つくる会によると、扶桑社が2月、「次回の教科書は、これまで以上に広範な各層からの支持を得られるものにしなくてはならない」として、新しい執筆陣で作成し、別法人をつくって発行する意向を伝えてきた。同会は再考を求めてきたが、その余地がないことが確認されたため、扶桑社からの出版を断念したという。

 扶桑社は、つくる会が執筆した歴史と公民分野の中学教科書を02年度からと06年度からの2回発行した。採択率10%を目標としていたが、実際は1%に届いていない。

 扶桑社は「つくる会の動向に関しては、コメントを差し控えたい」としている。

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