(by まつおっち)天命・宿命・運命・立命

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(by まつおっち)

先月(07年1月)、福聚寺副住職で、芥川賞受賞作家の玄侑宗久さんの講演会に行ってきました。

宗久さんのお話は、ひとことで言えば「仏教的世界観」がテーマ。
僧侶らしい、心が安まるようなゆったりとした声で語られた内容はとても含蓄に富んでいました。


ただ、ご自身も冗談でおっしゃっていたのですが、

「わかったようなわからないような話」

でした。要するに、ちょっと抽象的な内容なわけです。

ただし、ある程度抽象的だからこそいい場合がありますよね。
というのも、聴き手一人ひとり、それぞれ自由な解釈ができるわけですから。


さて、私が、宗久さんのお話の中でもっとも印象に残ったのは、

「命」(いのち、めい)

についての話でした。

以下、簡単にご紹介したいと思いますが、なにぶん抽象的な話です。

きっとわかりにくいです。あらかじめお詫びしときます。(笑)

また、私の解釈が入っていますので、文責はすべて私にあることを
あらかじめご了承ください。


古来、中国では、「命」とは、私たちが生きる「自然」全体を意味したそうです。
これから何が起こるか100%予測することができない、人知を超えたもの。

そこで

「天命」

という言葉が生まれました。
「命」がどうなっていくかは、「天」が決めているのだという考え方を表したものと言えますね。


そして、この「天命」と人間との関わり方の違いで
いくつかのバリエーションがあります。


「宿命」

「命」に「宿る」(とまる)と書く「宿命」は、人の人生は、すでに命を受けた時から決まっている。
だから、それに黙って従うしかないという完全に受身の考え方ですね。
「天命」は変えられないという見方でしょう。


「運命」

「命」を「運ぶ」(動かす)と書く「運命」は、「天命」で私たちの人生はあらかた決まっている
とはいえ、少しは人の意思で変わるとする考え方。実際、私たちは日々、様々な選択肢の中から
自分の意思でどれかを選んでますよね。なにを選ぶかによって人生はまるで違ってくるのは確かです。
ただ、結末はほとんどの場合「運」で決まってしまうのですが。


「立命」

「命」を立てると書く「立命」、これは言い換えると「命」に乗る、乗りこなすというもの。
私はこの「立命」の持つ意味にとてもしっくりくるものを感じました。

「立命」とは、私なりのたとえで言えば、
運命という「波」をサーフィンのように上手に乗りこなすこと。

波の流れにただ従うのではないし、波に逆らうのでもない。無理に変えようとするわけではない。
波の流れにうまく乗りながら、自分にとって望ましい方向に向かっていく。

「宿命」や「運命」にはあきらめの気持ちが感じられますが、
「立命」には、自分が与えられた「命」とうまく折り合いをつけていこうとする積極性がありますよね。


さて、人が幸せに生きるために望ましい考え方は、

「宿命」
「運命」
「立命」

のうちどれでしょうね?


(by まつおっち)

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コメント(1)

とても示唆に富むお話、ありがとうございます

運命は変えられる、変えられないのは宿命
そんなお話を聞いたことがあります。

今回のお話は、それと通じるものなのでしょうね

気になったので「立命」でググってみました。

すると関連する言葉に「安心立命」というものがありました
心を安んじて命を立てる…心を安らかにしてゆるがないこと

分かりやすく具体的な言葉に置き換えるなら
 宿命とは、生をうけてこの地に立ち、またしかるべき時に去ること
 立命とは、その間にその地で生きがいをもつこと
 運命とは、その生きがいにそって生きていくこと
だとか

自分の軸となるものがあるから、ゆるがない

そう思うと、立命がないから、運命が天任せになっているということになるのかもしれませんね

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