(by paco) Alfa156に乗る!

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P1080667.JPG(by paco) paco's 147がトラブル中で、代車としてやってきたのが、おねえさんに当たるAlfa156。リネアロッサというグレードです。代車ということなので期待していなかったのですが(まあ、フィアットグループなので、パンダあたりかなーと)、アルファ、しかも156ということでごきげんです。入院が長期にわたっているので、都内だけでなく、六兼屋にも来てしまいました。

156と147といっても知らない人が多いと思うので、ちょっとだけ紹介しておくと、この156は欧州のDセグメントというカテゴリで、日本で言えばコロナ(プレミオ)、ブルーバード(シルフィ)クラスのミディアムセダンをさします。エンジンは4気筒2Lと、2.5LのV6、ほかに3.2L V6のスペシャルバージョンが存在します。欧州でのライバルは、プジョー406、BMW3シリーズ、メルセデスCクラスということで、まさに激戦区、ここで登場以来、アルファをマーケットに復帰させた「名車」として評価されているのがこの156というわけです。すでに欧州では後継車159がデビューして、これも好評なのですが、僕は156のジウジアーロデザインがお気に入り、本当は147よりこちらがほしかったのです。

P1080641.JPGP1080637.JPG147は、156のひとつ下のCセグメントのクルマで、クラスとしてはVWゴルフ、ルノー・メガーヌ、プジョー307あたりがライバルになります。とはいえ、147はシャーシが156と共通で、ひとつ上のおねえさんの骨格をもらって小型化し、独自チューニングを施したクルマという位置づけで、設計も147の方が数年新しくなります。違いはボディが156はセダン、147がハッチバック。147の方がひとまわり小柄、足回りの基本は共通だけれど、エンジンがちょっと違う(後述)、ミッションはどちらも同じ、アルファ自慢のシーケンシャルミッション「セレスピード」です。

ということで、今回のレンタルは、まさに棚ぼた、ラッキーという感じでご機嫌なんですね。

グレードの「リネアロッサ」は、ノーマルの4気筒4Lに、インチアップした17インチタイヤを履いている点が機能的に異なる点で、あとは黒に赤いライン、赤いレザーシートという、ファッション性がウリの特別仕様車です。といっても、実際にはあまり売れ行きはよくなかったらしく、僕が147を買うときも新古車で残っていたし、この車もまだ800kmしか走っていない、ほぼ新車状態でした。売れ残ったので、代車にしてしまったのでしょうか。

そんな156リネアロッサなので、タイヤ以外はノーマルの2L セレスピードと同じと見て、以下のレポートを読んでください。

P1080344.JPGP1080009.JPG147と156を分けている大きな違いは、エンジンにあります。147の方がアルファとしては古くから持っているエンジンで「ツインスパーク」、156はJTSというエンジンです。この両者はベースになっているエンジンブロックはFIAT製の鋳鉄ブロック、かつての名ラリー社「ランチア・デルタ・インテグラーレ」にも使われていたものと共通。2本のバランスシャフトを持ち、4気筒ながらなめらかな回転を狙ったエンジンです。ちなみに、このバランサーシャフトは三菱自動車が開発したもので、80年代にギャラン・シグマ/ラムダに乗っていたエンジンと同じ技術を使っています。

このエンジンブロックに、ランチアとは異なる、アルファが独自に開発したツインカムヘッドをのせたのがツインスパークで、その名の通り、2本のスパークプラグで効率的な年商を実現したハイテクエンジンです。JTSはこのツインスパークをベースに、ガソリン直噴装置をつけてチューニングし直したエンジンで、ここからわかるとおり、156のJTSエンジンの方が、147のツインスパークよりも新しく、パワーもあるエンジンなわけです。実際、156も初期型は147と同じツインスパークを載せていました。

スペック(パワー/トルク)は、ツインスパークが150HP/18.4kgm、JTSが166HP/21.0kgmということで、JTSの方が1割ほどハイスペックになっているのが期待できるところ、といっても、車重とボディが大きい点がこの差に道つながるのかが、気になります。

さて、乗ってみると、156の方がさすがにぐっとおねえさんで、しっかりしている、というか落ちつきがある印象で、「やっぱりいいワ」と感動。思わずこっちにするべきだったかと後悔しました。ワンサイズ太いタイヤを履くこともあって、路面の変化には敏感で、ステアリングをとられるところはあるものの、高速の安定感、直進性は156の方が上で、フラット感も高い印象です。

注目のエンジンは、低速からトルクが太く、扱いやすく、かといって回転が上がるにつれてもりもり力が湧くところはアルファの血統そのものの。ボディの違いを感じさせない力強さで、156をスポーティに走らせます。やっぱいいワと後悔が募ります。147を買うときに、さんざん悩んだトランクスペースは、六兼屋の荷物をつっこんでみたところ、あっさり飲み込んでしまい、後席にも荷物を置くことが多いpaco147とはやはり絶対的な容積が違う感じ。トランクのふたの部分が小さくて出し入れが難しいかと思われた大型のトートバックも、問題なく入れることができました。やっぱいいワ。でも、リアシートが倒れないので、庭のための大きな買い物が多いpacoライフには向かないよなーといいわけしつつ、高速を抜けて八ヶ岳に。

山道に入ったとたん、「やっぱり147がいいワ」と宗旨替え宣言が出ました。なぜか?

エンジンがつまらない!のですね。JTSエンジンは確かにトルクはあるし、上まで回るのですが、その途中の特性が今ひとつおもしろくない。ツインスパークは3000でも4000でも、もっと回して!と回転の上昇が鋭くなってくるし、それにつれてクルマがどんどん軽くなるのですが、156のJTSは、きれいに回っているのですが、どこかごろごろした印象が残り、どんどん回すより5000回転に達する前に「まあこのへんでシフトアップしておくか」というような気持ちにさせられます。スピードそのものは十分速いようですが、どこまで行けるか攻めていく気持ちより、「このぐらいにしておこうかな」と思わせてしまう。クルマにまだ慣れていないせいもあると思うけれど、ドライバーとの一体感が薄く、どこかクルマに乗せてもらっている感がつきまといます。といっても156の名誉のために付け加えておくと、あくまで147との比較の上でのことで、Dセグメントセダンとしては破格のスポーティさであることは、間違いありません。

156にJTSエンジンが乗ったときに、147もツインスパークからJTSになると言われていたのですが、アルファは結局147にはツインスパークを使い続けました。その理由がよくわかります。大きく重い156にはトルク重視のJTSを、軽快感と切れ味にすぐれるツインスパークは147にという選択なのですね。

都内で乗ると、なんだかあわただしい落ち着かない印象の147ですが、山に来るとクルマが一気に3割は軽くなった印象で、もっと速くとドライバーをせかすような気持ちよさがあるのですが、156は逆で、街中ではスポーティ&力強い&快適なのに、山に来ると「そこそこ速く走ろう」というぐらいの気持ちになってしまう。もちろん、それでも十分に速いのですが、気持ちが速くない。147ではちょっとその気になるとVDC(トラクションコントロール)が介入してきて、クルマの限界が近いところまで攻められるのに、156では、そこまで攻めきれないというより、そういう気持ちにならないような。といってもこれはワンサイズ太いピレリPzero Neroのトラクションのせいかもしれません。17インチタイヤが車にどんな影響を与えるかは、もう少しよく見て、paco147の次のタイヤ選びの参考にする、というのが次の課題です。

性能面での差がほとんどないのに、チューニングでこれほど違うものかと、ちょっとびっくりです。

さて、走り味はそのぐらいにして、そのほかの部分。

インテリアでは、不思議なことに156の方がシートが小振りで、サイドサポートも控えめなので、ハードなコーナリングでは体をシートに預けきることができません。147の大柄のシートはしっかり体を支えてくれていたことが改めてわかりました。

装備でおもしろかったのはオートクルーズ。高速道路でセットすると、一定速度で巡航してくれるもので、甲府盆地を警察に狙われない速度を維持して走るのにはとても楽でした。でもカーブが続く区間では、定速であることがかえって違和感になり、同じ速度で走っているつもりでも、コーナーの手前、出口、見通しの有無で微妙に速度調整をしている自分に気がつきました。

それにしても、改めてみて、この156のスタイリングの美しいことよ。エレガントでアグレッシブ、そしてスポーティ。セダンとしてはギリギリ小柄の引き締まったボディ。漆黒に赤のライン、赤のレザーシートのおしゃれさは、イタリアのダテ車ならではでしょう。ちょっとファニーフェイスの147をデザインしたのは、デ・シルヴァ、こちら156はジウジアーロ。どちらも現代イタリアンデザインの頂点です。

こういう「細部まで作り込まれたもの」と付き合うことは、同じようにクルマに乗っていても、多くのことを学ぶことができます。それが、人生の密度を上げると僕は思っているのですが、こじつけでしょうか。

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