(by ショウコ.i)選択肢が少ないことの幸せ

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(by ショウコ.i)
最近の(若い)人は選択肢が多いから大変よね、というセリフをよく耳にします。
学生→社会人の節目でもそうだし、独身→結婚の節目でも選択肢の多さが迷いを生み、フリーター(ニート)や晩婚化につながると。
本来、特に資本主義社会の論理では選択肢が豊富にあるということはむしろ望ましいことのはず。そのことにより各人の自由意志が働き、各人の自由な意思決定がひいては市場原理のもとになる。市場原理によって実現した状況は最大多数の幸福であるはずだと。

ところが現実はそうはいかず、豊富な選択肢を前にした個人は悩み、決められず、意思決定を先送りしている状況のようです。溢れる情報の中、個人が決定に必要な価値観、モノサシをうまく使えていないように見えます。
では、選択肢のない状況を、悩む人々は望んでいるかというとそうでもなさそうです。価値観の押し付け、個人の意思の尊重・・反発は容易に想像できます。

■選択肢が少ないことの幸せ

私はこの1年、自分の意図とは関係なく「これはこうするもの」「もうこっちは選べない」という状況にたくさ
ん出会いました。(これまで読んでくださった方には改めて言うまでもなく)結婚がその理由なのですが、例えば今まで「女・男という時代じゃない。関係ない」と言って私を育ててくれた母親が突然に「(結婚に関しては)女の子側がこうするもんだから・・」ということを口にしたりするのです。びっくりしたのですが、もともと結婚式は自分たちのためにやるんではない、両親や周囲の人のためにやるんだ!と考えを定めていた私は素直に従ってみました。そうしたら不思議と心が楽なのです。
いつもは理屈のわからないことや、自分の意にそぐわないことを受け入れることに抵抗し、自己嫌悪に陥ることすらあるのに、今回はそんなことにはまるでなりませんでした。
ややこしいことを考えずに済んだから、というのももちろんあるかもしれません。けれど、選択肢を狭められたにも関わらず気持ちが良いという体験はまったく初めてで、新鮮でした。

また結婚そのものもそうです。夫を決めたということは「やっぱり独身がいい」とか「もっと他に良い人がいるかも」という選択肢を捨てるということです。また生活に関して例えば「今住んでいるところを遠く離れて転職する」ということも事実上選べない(選ばない)でしょう。大きな決定事項は夫と相談して、ということも選択肢を狭めることに他なりません。今まで「嫌だったらやめればいいわ」という前提のもと決定してきたことはまるで違います。
ところが、そのことに関するしんどさとか、気の重さがまるでありません。それどころか自分の決定や、自分の前にある、以前に比べれば圧倒的に少ない選択肢に誇りさえ感じます。

今までどちらかというと優柔不断だったのに、一体何なんだろう?これは?


■自分が決めるということ

一つ、以前の私と異なることがあります。それは「自分」とか「相手」とか、固定した「何か」を基準に物事を捉えるのではなく、それらの関係性そのものに価値を置き、大切にできるようになったということ。
この変化は急激なものではなく、数年かけてゆっくり生まれてきたものですが、振り返ってみると
これまでは自分の本心がどうか?とか心から望んでいるか?とか、そういう自我のようなものにこだわりすぎていたのかもしれない、と思います。

この気づきは冒頭で挙げた、就職?仕事選び や、結婚?生活選び につながるような気がしています。
やりたいことをやりなさい、自分の意思を大切にしなさい、実力社会、自己責任、自己実現・・・
一見幸せにつながるように見えるこれらのキーワードが、実は他者や外界とのつながりから目をそむけ、自分だけを見つめてしまう、一種の引きこもり状態を作り出しているのかもしれない。
思い切って自分を透明にし、外側にあるものに素直になってみたら・・・

ピアノの上手くない人は、鍵盤と自分の手元を凝視してしまいます。
自転車に上手に乗れない子どもは視野を遠く保つことができず、タイヤの動きばかりに気を取られています。
結果として目的に上手く達することができない。
視線を遠くに向けて自分の手が奏でるメロディーに耳を傾けてみる。
進行方向に目を向け、バランス感覚を全身で覚えてみる。
自分の中ではなく、自分の行動と、周囲の反応とのつながりに興味を向けることが良い状態を生み出すことにつながります。

選択肢の少なさ。
これは腹をくくり、選んだ先に起こる様々のことに目をむけ素直に受け入れるということに他なりません。
結果としてとても風通しが良く、かえって自由に動ける自分がいる。

こんなことを言えるのはたまたま私が周囲の人に恵まれ、コミュニケーションをうまくとれているからかもしれません。(この点に関しては感謝のみ!です)
けれど、今回のこの「選択肢が少ないことが幸せにつながるんだ」という経験は今後の人生の決定事項にとても良い影響を与えそうな気がしています。自立したと言い切っていいのかどうかはわかりませんが、自己肯定感のようなものがはっきりと芽生えてきたように感じているのです。

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